過去の哲学者に学ぶ現代(いま)の生き方。フランシス・ベーコン
もちろん燻製の豚肉ではありません
フランシス・ベーコン(1561年-1626年)は、イギリスの哲学者、政治家、法律家であり、経験主義や科学的方法論の先駆者として広く認識されています。「ノヴム・オルガヌム」「ニューアトランティス」などの著書がある彼の主な主張は次のようなものです
◾️帰納法の提唱:観察と実験に基づく知識の獲得を重視し、帰納法の重要性を強調。彼は、特定の事例から一般的な法則や原則を導き出す帰納的推論が、科学的知識を構築するうえで不可欠であると考えました。
◾️偏見の排除:ベーコンは、真理を歪めるさまざまな偏見や先入観を「イドラ」と呼び、これらを排除することが重要だと主張しました。彼は、イドラを克服し、客観的で偏りのない観察を行うことが、真の知識を獲得するための鍵だと考えました。
◾️実用的知識の追求:ベーコンは、知識は権力であるとし、科学的な発見が人類の生活を改善し、自然界を制御するために利用されるべきだと主張しました。彼は、知識を実用的な目的で使用することを推奨し、科学と技術の発展を通じて社会を改善することを目指しました。
彼は哲学者である前に政治家であり、法律家であった人です。
※彼はイングランドの国王ジェームズ1世の下の政治家でしたが、汚職の罪で失脚しました。
当時は科学、芸術、文化が大きく発展した時期であり、従来の協会の権威や伝統的な知識に対する疑問が高まっていました。ガリレオ・ガリレイが「落体の法則」を発見(1604年)し、ハンス・リッペルハイが望遠鏡を発明(1608年)したのもこの頃で、シェイクスピアが数々の戯曲(リア王1605年)を発表したのもこのころです。科学に倣い、前提を疑って経験から得られる知識から物事を考えていくという経験論を展開したのです。
「ノヴム・オルガヌム」は、1620年に出版された彼の主要な著作の一つです。この書は、従来のアリストテレス的論理学(オルガヌム)に対する批判と、新しい科学的方法論の提案を含む内容で構成されています。
また「ニューアトランティス」は、彼の死後の1627年に出版された未完の作品です。この作品は、架空の島「ベンサレム」という理想的な科学技術文明を描いたユートピア小説であり、ベーコンの科学的および哲学的理念(理想的な社会:実験と研究が社会の利益に貢献する科学コミュニティ、科学的知識と技術進歓迎が道徳的および宗教的価値観と調和して機能する社会)を象徴的に表現しています。
ベーコンが強調した偏見や先入観を排除することは現代おいて特に重要になってきていると思います。情報過多の時代にあって、批判的思考を養い、様々な情報源からの知識を慎重に評価し、分析する能力は必要不可欠です。懐疑主義を持ちながらも、証拠に基づいて合理的な判断を下すことが、誤情報やフェイクニュースに惑わされないために大切ですね。。 また日常生活においても帰納法や科学的(合理的)な考え方は大切です。経験や観察を重視ししてそこから事実に基づいて判断するのは先にあげた誤情報に惑わされないために必要な姿勢です。もちろん経験してなくても正しい知識は実用的に使い、進歩を肯定する姿勢は大切ですね。
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