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ポロックの見た世界

扉の絵はジャクソン・ポロック(Jackson Pollock, 1912年1月28日 - 1956年8月11日)の"秋のリズム“という作品です。

この絵はどうやって書いたかと言うと、絵具をたらしたり、筆を降って塗料をキャンバスにとばしたりして描いています。


この絵は抽象的表現主義の一つと呼ばれる現代美術の名作ですが、この絵を理解するのは絵画素人には本当に難しい。いろんな評論家がいろんな比喩を用いてこの絵を解説しているのを読んでも逆にわからない。この絵のどこが名作なのか?

もちろん、まだ誰もやったことのない描き方だったから名作というのもあるだろう。でも素人にはそんな歴史は関係なくて、この絵の素晴らしさを感じたい場合にはどうしたら良いのか?

解説者によっては「現代美術はあるがままに、感じるままに感じれば良い」と言いますが、何の予備知識もなく、この絵を見せられても(巨大なので圧倒されるけれど)よくわからないというのが実情だと思う。

もちろん、印象で好き、嫌いというのはあるだろう。
どちらかといえば僕はこの絵を好きじゃない。なぜなら、見てて不安な気持ちになるから。

それでも絵の背景を知ることで絵を理解することはできます。
ポロックも最初から抽象画を書いていた分けではなく、アートを勉強するためThe Art Students League of New Yorkで学んだ後は風景画を描いていました。当時は世界恐慌の煽りをうけ、(仕事は見つかったものの)暗い社会で、ポロックは精神病を患い、絵を治療として描くようになりました。
またアルコール中毒でもあったようです。
「暗い社会」「自信の喪失」「アルコール」このようなベールに包まれた精神の中で、ポロックは世界を見ていて、そしてこの絵が生まれたのです。

そういう背景を知ってこの絵を観ると、ポロックの描きたかった世界が理解できるかもしれません。正解はないですが、絵と対峙して、絵の背景とともにポロックの見た世界を想像して絵を解釈することこそ、この絵を理解することになるのです。

近代以降、アートは見たまんまを描くのではなく、画家というフィルターを通して見た世界を作品にするようになりました。だからこそその絵が描かれた背景の理解が大切になります。現代ではその作品鑑賞者の心の変化が作品という捉え方もされ、どんな鑑賞者を想定するのかも作品作りの一部になってきています。

収斂

この作品は”収斂”というのですが、何が収斂するのでしょうか?画家はここに何の収斂を見たのでしょうか?

絵を通して、画家が表現したかった世界を理解できれば、そこに共感が生まれるかもしれませんね。

作品は芸術家が見た世界を表現したものですから。

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