哲学の巨匠に学ぶいまの生き方 パスカル
今回紹介するブレーズ・パスカル(Blaise Pascal、1623-1662年)は哲学のみならず、数学や物理学にも功績を残しています。
まず哲学に入る前に、哲学以外の功績を紹介します。
パスカルの原理:密閉容器中の流体は、その容器の形に関係なく、ある一点に受けた単位面積当りの圧力をそのままの強さで、流体の他のすべての部分に伝える。つまり、下図のように、ピストンの面積を変えると増力するのにつかうことができ、このことを応用したのが油圧ジャッキや油圧ブレーキです。
他にもパスカルの定理やパスカルの三角形など、数学に関してパスカルの名前がついたものもあります。
さて哲学者としてのパスカルで最も有名な名言は
「人間は考える葦である」
でしょう。
これは彼の遺稿集「パンセ」の一節に登場する言葉で、前後を抜き出すと以下の通り。
つまり「人間そのものは弱い葦だけれど、考えることで強い。だから人間はそれを意識して考えることを始めなくてはならない。」というのです。これは、自己認識と謙虚さの重要性を教えてくれます。自分たちの限界を理解し、それを受け入れることが、より賢明な判断や行動につながることを示しているのではないでしょうか。
他の名言からも読み取れることを書きます。
「心には、理性では知り得ない理由がある」 - この言葉は、人間の感情や直感が理性を超えることがあるというパスカルの考えを表しています。また「パスカルの賭け」は、証明できない事柄に対する信仰の価値を示しています。ここから科学や論理だけでなく、直感や信念も重要であることを示唆しており、特に不確実な時代にはこのバランスが重要という教訓でもあります。
「永遠の沈黙に我を包むこれらの無限の空間におののく」 - この言葉は、宇宙の広大さと人間の無意味さを感じさせるもので、人間の存在と宇宙の関係に対するパスカルの思索を示しています。ここから我々は現代の科学技術が進む中で、我々が宇宙や存在について持つ畏敬の念を深めるきっかけを得ることができるでしょう。彼の言葉は、人間が一部である大きな宇宙の文脈で自己を位置づけることの重要性を教えています。
パンセは遺稿集なので、全体を貫くメッセージはないけれど、パスカルの教えは、理性と感情、個人と宇宙といったテーマを通じて、現代人が直面する多くの問題に対する洞察を提供してくれるように思います。