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「やりがい」とは「自分にしかできない仕事」のことではない

『やはり自分がいないと仕事が回らないのでは』と不安になるものだ。
だがな、絶対に回る。会社とはそういうものだ

今日から何回かに分けて、転職の思考法を読んだ感想を書いていきます!

この前入社報告したばっかりなのに、もう転職かよ!と思った人もいるかもしれませんが、『この本は読んでおいたほうがいい』って、入社することにした会社の人事がオススメしてくれたので。。。

ただ実際に読んでみたら、タイトル自体は『転職』になってますが、中身は人事評価制度や人材業界の仕組みについても書いてあったりして、いますぐに転職どうこうっていう人でなくても学びのある、汎用性の高い本でした。


誰が抜けても会社は回る

ということで本題に入る前に、もう1回、冒頭で引用した本中の一文を見てみます。

『やはり自分がいないと仕事が回らないのでは』と不安になるものだ。
だがな、絶対に回る。会社とはそういうものだ

『転職の思考法』はストーリー形式になっていて、この一節は転職しようかどうか最後の決断にさしかかった主人公に対して、これまでずっと相談にのってきた代理人が放った言葉です。

一言で言い換えると『うぬぼれるな』という、ややもすると非常に厳しい言葉に聞こえるんですが、悲しいかな、これは真実だと思います。


「やりがい」とは

よく『自分はこの仕事にやりがいを感じている』と従業員側の人が言ったり、逆に『弊社は非常にやりがいのある会社です』と経営者側の人が言ったりすることがあります。

そして、この『やりがい』というのは『その人にしかできない仕事』と置き換えられることが多いんですが、ぼくは違うと思っています。

『やりがい』は『その人の仕事能力と、している業務に求められる仕事能力との差』に生まれるものです。

そして、その『差』が当人によってちょうど良い(≒求められている仕事能力のほうが、現時点の自分の仕事能力よりちょっとオーバーしてる)とき、ぼくたちはやりがいを感じます。

つまり、『この仕事はやりがいのある仕事』『この仕事はやりがいのない仕事』と絶対的に決まっているわけではなくて、『この仕事はAさんにとってはやりがいを感じないけど、そのBさんにとってはとってもやりがいのあるもの』といったふうに、とても相対的な概念だと言えます。


そもそも会社とは「その人にしかできない仕事」を「誰でにもできる仕事」に仕組み化する組織

冒頭の『自分がいないと仕事が回らないのでは』に戻ると、これは『この仕事は自分にしかできない仕事では』と思っているとも言い換えられて、当人にとってはとても『やりがい』を感じているいい状態ですが、冷たい言い方をすると『それはその人の思い込み』です。

その人がやりがいを感じているのは『その仕事が自分にしかできないから』ではなく、『その仕事で求められる能力が、自分にとってちょうどいいくらいの背伸び具合だから』です。

なので、もしその人が抜けても、今度はまた同じくらいの仕事能力の人か、ちょっと低いくらいの人が、『やりがい』を感じながらその役割を全うします。

ちょっと低いくらいの人が入ると、最初は多少パフォーマンスが落ちるかもしれませんが、やがて遜色なくなります。

ポジションは、人を育てます。

そして、組織とはそもそも『誰かにしかできない属人性の高い仕事を、誰にでもできるような仕組みに落とし込んでいく』ものです。

『自分にしかできない仕事』と従業員側の人が感じることがうれしいですが、会社としてのリスクヘッジと成長を考えたときに、そんな仕事があってはダメで、それをいかに『誰にでもできる仕事』に仕組み化していくかが、組織の論理と言えます。

なので極論を言えば、会社に存在するそれぞれの仕事は、時間をかけてやり方を覚えれば、ある程度誰にでもできるよう仕組み化されているんだけど、『どれくらいの労力をかければ、そのある程度のレベルまで達することができるのか』というのはそれぞれ違っていて、その『その求められる仕事能力』と、従業員のメンバーそれぞれの『持っている仕事能力』を見比べて、ちょうど『やりがい』を感じるような配置にすることが、会社としてやっていることです。


大谷翔平が抜けた日ハムと、前田健太が抜けた広島

『その人がいなくても組織は絶対に回る』の好例を見せてくれているのが、プロ野球チームの日本ハムと広島です。

まず日本ハム。

入団2年目から6年連続二桁勝利を挙げていた絶対的エース・ダルビッシュ有がメジャーに移籍した年のシーズン、絶対にその穴は埋まらないだろうと言われていました。

しかしダルビッシュが抜けた2012年シーズン、なんと日本ハムはリーグ優勝を果たしたのです。

しかもダルビッシュが在籍した前年の2011年はリーグ2位だから、順位があがっている!

あとは大谷翔平。

彼の存在も代えが効かないと言われていて、もちろん存在感としての代替は無理ですが、戦力としてはどんどん代わりに新しい選手が出てきています。

こちらも、大谷選手が在籍した去年は5位だったんですが、抜けた今年は3位にまた順位を上げました。

そして広島。

前田健太が渡米前に最多勝のタイトルを獲得してメジャー挑戦したんですが、こっちもまた4位から優勝にまで順位を上げています....!

そしてその優勝した2016年にはレジェンド・黒田博樹が引退しましたが、なんとそこから驚異のリーグ3連覇。

しかもどのシーズンも、2位以下に大差をつけた優勝です。

つまり、一昨年、去年とリーグMVPを受賞した広島の丸選手を獲った巨人が今年は優勝するだうと言われてるんですけど、抜けた丸の穴も絶対に誰かが埋めるから、巨人は気をつけていけよ!ということです。


兵庫生まれ兵庫育ちの巨人ファンより


▼『やりがい』の自分なりの定義を発明した、当時のブログ


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