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「収益の確保」以外の、サブスクリプションの強み
『サブスクリプション』という言葉をビジネスの現場で頻繁に聞くようになって、久しいです。
日本語でいうと『定額課金』で、言ってしまえばその仕組み自体はとうの昔からあったわけですが、横文字でカッコよくなって、さも新しい概念かのように再登場するのは、珍しいことではありません。
それで、いまどんどんいろんなサービスが『サブスク化』していて、そのビジネスモデルのメリットはいろんなところで語られています。
そして、そのうちのひとつに『収益の安定性』があって、よっぽど大量の解約者が出ない限り、来月、3ヶ月後、半年後、1年後の収益の目処が一定程度は立つので、サービスの提供側としてそんなにありがたいことはないわけです。
ただ、『収益の安定性』以外の使い道以外でサブスクを展開している事例が紹介されている記事があり、それがとても面白かったです。
>月額3000円の「飲み放題コーヒー」が儲かるわけ
まずは、タイトルにもある通り、月3000円で来店のたびに1杯300円のコーヒーを受け取れるカフェ。
ただ、記事を読み進めていくと、コーヒーのサブスク単体では売上を狙ってないことが伝わってきます。
まあ単純計算で、1杯300円で月3000円だから10杯飲んだら元が取れるとして、通勤や通学中に毎日買ってたら、軽く20は超えます。
じゃあなぜこのカフェがサブスクをやっているかというと、『データ蓄積』と『ついで買い』です。
サブスクの申込時に、年齢や性別を入力して、以降もオンライン上に来店時刻などがデータとして蓄積されます。
そういったデータは、新商品の開発や顧客の来店の予測などに役立てることができるのです。
あと『ついで買い』に関しては、単純にお店に来た時にコーヒー以外のものを買ってもらえる可能性があるのと、『サブスクだから』という理由でその店への来店頻度が高まり、結果的によりそのカフェへの愛着が増す効果も期待できます。
そしてその結果、コーヒー以外のメニューも購入してもらいやすくなるでしょう。
あともうひとつの事例として出てきていたのが『野郎ラーメン』です。
関西ではあんまり見かけませんが、東京(関東)ではよく見かけます。
月額8600円で、11~12杯食べると元を取れてしまうため、3日に2回くらい食べるへービーユーザーにとっては楽勝だし、逆に月にあんなコテコテのもの月に10杯以上食べる人なんてあんまりいないので、継続率自体はそこまで高くないようです。
結果、野郎ラーメン的に収益としてはそこまでおいしい仕組みではないようです。
ただ、今後もサブスクは引き続き行うようで、理由のひとつはさっきのカフェとも重複するんですが、『ヘビーユーザーのロイヤリティ向上』にあります。
サブスク会員は、一般客が券売機で買うのとは違い、アプリを提示すればすぐに買うことができます。
スタッフ側も『サブスクの会員だ!』ということがひと目で分かるので、気軽に声をかけやすいのだそうです。
結果的に、お客さん側もお店にさらなる愛着を持つ効果が期待できます。
あともうひとつ面白かったのが、『PR効果』だそうです。
この仕組み自体で儲けは出ていませんが、このサービス自体を『広告』と捉えれば、話題のひとつとしてメディアに露出することができたり、会員が1ヶ月ずっと食べ続ける様子をSNSにアップしたりと、様々なPR効果があったそうです。
ということで、その『収益の安定性』はサブスクの強みのひとつとしてよく語られがちですが、それ以外にも、サブスクはいろんな使い道ができるんだよという話でした!
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