「反抗期はおだやかでも大丈夫なことが多い」
Q:私、反抗期にほとんど反抗しなかったんですけど、それって危ないんですか?
A:大丈夫な場合がほとんどです。反抗期の発達課題は、養育者との激しい衝突が無くても達成できるからです。
例えば、第一次反抗期(2〜3歳くらい)の発達課題には
「自分と他者の心の違いに気づき(心の理論の成立)、言葉を使って自分の気持ちを表現(自己主張)したり、他者の気持ちを推測して合わせること(自己抑制)ができるようになる(話し言葉の文法が一通り完成)」
というものがありますが、これは「言葉の発達」を促進することで、大きな衝突なしに達成できることがわかってます。
例えば、まだ気持ちを上手に表現できずイライラしている場合にその気持ちを推測して「○○なの?」と気持ちを言葉で代弁してあげたりします。
すると、それが気持ちを言葉で表現するときのお手本となります。
また、それは同時に、幼児自身が気持ちを推測してもらう体験となり、それが他者の気持ちを推測しようという気持ちのもとになります。
他にも、絵本等を読み聞かせて言葉の発達を促した子は反抗期が穏やかになる傾向があるそうです
第二次反抗期(11〜14歳くらい)においてもおだやかに発達課題を達成することは可能です
例えば、第二次反抗期の発達課題には
「養育者から精神的自立をするために、養育者以外の人と精神的な絆(チャムグループ)を作り、養育者以外ともお互い支え合うスキルを身につける」
というものがありますが、養育者と子どもの間に信頼関係があり、養育者が子どもの自立しようとする試みをアサーティブな(自分と相手の両方を肯定的に捉える)態度で指導するならば、養育者への反抗は穏やかになります。
そして、そういった養育者の態度が、養育者以外と精神的な絆を作る上でのお手本となります(これがうまくいかないとイジメ等の問題行動の原因になることもあります)
最も、だからといって、反抗期に反抗しなかった全ての人が、上記のような理想的な状態ではないです。養育者に強権的に押さえつけられて反抗できなかった場合もあります。
その場合は、心の中に「怖すぎる養育者」が住み着いて心のバランスが崩れてしまったりします。
しかし、そういう場合でも、いろいろと対処方法はあります。
例えば、エンプティチェアの技法
(目の前の空の椅子に養育者が座っていると想像して、こどもの頃言いたかったことを言ってみる。次にその椅子に自分自身が座り、自分がその当時の養育者になったと想像して返事する。これを繰り返すことで、心の中に住み着いた「怖すぎる養育者」を克服する)
などを使って心のバランスを整えたりします。
このように反抗期がおだやかであっても問題ないどころか、理想的な状態の場合も多いですし、何らかの問題がある場合も、解決する方法はたくさんあります。
人間って結構すごいですよね(*^^*)