「ラポート(信頼関係)と音楽」
会話を分析すると『相手の知らない事』を伝えることを目的としていない部分があり、親しくなればなるほどその割合が増えます。
例えば
A「さっき一緒に見た映画面白かったね」
B「フラグを全てへし折って生き残る主人公には笑った」
A「だよねー」
という会話において、AもBも同じ映画を見てますので、この会話の前と後で、どちらも新しい知識を得ていません。
このような会話は『私は、あなたに伝える必要のあることがなくてもあなたと話をしたい』ということをお互いに示すために行われ、心理学的にはこれはラポート(信頼関係)形成のための会話と言ったりします。
これに対して相手の知らないことを伝えるための会話はレポートです。
ラポートでは、言語的な内容よりも非言語的なコミュニケーション(表情、しぐさ、声の調子 etc)が重要な役割を担います。
さて、音楽において「この曲は何を伝えようとしているのか?」が議論になることがあります。
心理学的研究で何を伝えようとしたかがわかるようになると誤解されたこともありますし、評論家が「この曲がこういうことを伝えようとしているのではないか」と一つの解釈を述べることもあります。
しかし実際は、音楽のみで明確な意味を伝えることは不可能です。
(作曲家が「私はこの曲で〇〇ということを伝えようとした」と言ったり、歌詞で伝えたいことを述べた場合、あるいは「このようなメロディはこのような意味だ」とその文化内で共通認識がある場合は別です)
つまり、音楽はレポートではなくラポートであると言えます。
言い換えると、音楽は
『私はあなたに伝える必要のあることがなくても、あるいはあなたから何かを伝えてもらう必要がなくても、あなたとコミュニケーションをとりたい』
ということを伝えていると言えます
寂しかったら音楽しましょう(^^)
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