2016.2.26 その夢は何かを知らせている
子どもの頃から今に至るまで、年に3,4回のペースで夢を見続けている。
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ホームには母と僕、吹き荒れる雪の中にポツンと浮かんだ駅で列車を待ってる。もうずっと列車なんて来ないし、きっとこれからも来ない。
オレンジ色の灯りが照らすこの駅はきっと、僕ら以外誰もいない。
誰にもこの駅は要らないのだと思う。
僕は待合室で暖をとっていた。それでも、小さな手の中のコーンスープの缶は虚しく冷えていて、
待合室から見るガラス越しの母は、ベージュのトレンチコートを首から顔まで覆い、寒さに耐え、列車が来るであろう闇の中を見続けていた。
僕は、空き缶になったそれを、ゴミ箱に放り投げ、待合室を出る。
瞬間冷たい気流が僕全体を包み、後方、暖かい空気の方へ、去っていく。
僕は肩をすくませながら、近いようで遠い母の元へ歩く。
「ねえ、僕たちはどこにいくの?」
「わからないけど、暖かいところに行こうね」
「そうだね。寒いもんね、ここ」
「そうだね、もうずっと寒いもんね」
僕は、はいと言って母に手を差し出す。震える母の手を握ろうとする。
瞬間、闇の向こうから光が差し込み、この世界は終わる。
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刺すような寒さのカドが、少し溶けてきたような2月後半、また夢を見た。
思えば、物心ついた時から同じ夢を30歳手前の今になっても、見続けている。
どこか、田舎の無人駅で、オレンジ色の光だけを頼りにしないとそれが駅とも思えないような場所。そこに母と二人立っている。
あまりに気になり、母に聞いたことがあるが、そんな記憶はもちろん母には無かった。
ただ、僕が生まれ育った家庭はテレビで取り上げられるような不幸さは無いけれど、それでも特殊な環境だったし、まったくもって普通では無かったと思う。それが一つの理由なのではないかと僕に説いたのは大学で師事していたカウンセラーの方だった。
この夢は、僕に何を伝えたいのかわからないけれど、またふとした瞬間に見てしまう、そんな気がする。
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