悩みの種が実をつけた。
去年自分が書いていたメモのようなものを見返していた。去年も今年と同じように色々なことを思い、体験して、考えたりしていた。そして一貫して悩んでいた。
小説のようなものを書いていた。額に毛が生えた女性と付き合っている男の話だ。そんなことを書いていたことを全く覚えていなかった。途中で書くのをやめていたのは残念だったけれどまあ、そんなもんだろう。たぶん「額に毛が生えた女性」という設定を思いついたことが嬉しかったんだろうな、と思う。
気仙沼で露天風呂に入っていたときに、夜の港を見ながらなんでこんなところにいるんだろうなぁと思った。別に来なくたってよかったはずだ。ほんとなんでここに来ることになったんだろうなぁ。
ということを考えるともなく考えていたのだけどふと、気づいた。ぼくは悩んでいるからこんなところにいるのだ。なぜ悩んだら気仙沼の温泉に浸かることになるのか、論理的な説明はできないかもしれないけれど、おおもとを辿れば悩んでいるからここに来たのだという気がした。
ここ数年間ぼくはずっと悩んでいる。その悩みはぼくに変な小説のようなものを書かせたり、旅に出させたりしている。それは悪くないことのような気もする。たぶん。