あるいて、たべて、つかって、ねる。
5日目。ふたごの湯というところでこれを書いている。
昨日の台風は東北周辺の雲を一緒に持っていってくれたみたいだ。5日ぶりくらいにジリジリと照りつける太陽を感じた。顔も腕も焼けて赤くなり、なんだか旅人っぽくなりつつある。
今日は東北にきてからはじめて、果物を食べた。来る前は東北のとれたての野菜や果物を食べまくるぞ、と意気込んでいたのだけど、待てど暮らせど野菜の直売所だったり農家さんのいらっしゃるところに行き当たらない。でも考えてみたら当たり前だった、僕はずっと海沿いを歩いていたのだ。そんなところに農家なんてあるわけがないし、新鮮な野菜やくだものがあるわけがないじゃないか。
でもまあ、見つけた。まず桃。
歩きながら皮ごと食べた。むしゃむしゃ果汁をしたたらせながら。
そして、なし。
なしは写真がない。食べることしか考えてなくて撮るのを忘れてしまった。こちらもむしゃむしゃと果汁をしたたらせながら食べた。
くだものを食べる以外にはコンビニでパンを買ったり、夜はインスタントラーメンを食べたりしている。それは必要だから食べるというだけだ。食べれば元気が出るし、さっきよりも歩くことができるから。でもそれがどうしても食べたかったというわけではない。
食べたり、寝たり、歩いたりしてるのだけど、全ては必要なことだ。だから考えなかったら、コンビニのパンを食べちゃうし、荷物は重いまま進んでしまうし、寝心地は悪いけど我慢しようってことになる。
でもそこでちょっとだけ考えて、次はこうしてみよう、ああしてみよう、という工夫をすることによって、「必要なこと」がおもしろくなる。もし、失敗したとしてもおもしろいし、成功すれば最高におもしろい。
疲れた体で考えるのは難しいのだけど、気を保ち考えたい。
ふたごの湯は温泉で、温泉は傷口にしみる。足の裏の皮が剥けてしまっていて、痛くて入れなかった。でもどうしても入りたかったから、おしりから湯の中に入って、足は入れなかった。これが今日のいちばんの工夫だ。
ちゃんちゃん。