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法律ごとに違う「労働者」の定義

こんにちは。けんたろーです。

今回は各法で異なる「労働者」の定義についてまとめます。

試験問題でも法律名を入れ替えて出題されたりしますよね。

ここで覚えていきましょう。


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◆労働基準法(+α)の労働者

労働基準法での労働者は以下のように定義されています。

第9条  この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

これは労働者性の有無を確かめるための条文ですね。


ポイントは3つあって、

 ①職業の種類を問わず

 ②事業又は事務所に使用される者で

 ③賃金を支払われる者

の部分です。


①はつまり、「どんな職業の人でも」ということですね。働いている内容が何であれ、他の条件を満たせば労働者になります。

②はつまり、「会社から指示・命令を受けている人」ということですね。会社から指示・命令を受けるので、個人事業主や会社の代表者などは外れます。「指示・命令」は労基法上「指揮監督下」と言われます。

③はつまり、「働いたことに対する報酬をもらっている人」ということですね。もらう金銭が労働に対するものかどうかを判断します。

この①~③を満たす人が労働基準法上の労働者となります。


また雇用契約があるかどうかも判断の基準となりますが、実態としての雇用契約(民法623条)があれば足りるので、口頭契約での合意でも雇用契約があると認められます。


②の指揮監督下の判断基準としては以下のものが挙げられます。

 ・仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無

 ・業務遂行上の指揮監督の有無

 ・拘束性の有無

 ・代替性の有無

これらがあれば指揮監督下にあるとされ、会社と労働者の間に使用従属関係があるとされます。


労基法上の労働者として認められる例としては以下が挙げられます。

 ・法人の重役で業務執行権又は代表権を持たず、工場長、部長の職にあって賃金を受ける者

 ・労働組合の専従職員。労働提供を免除されて組合事務に専従しているが、本条でいう「労働者」にあたる。

 ・個人開業の医院で看護師見習いの業務に従事させ、かたわら家事その他の業務に従事する者


また以下の法令は、労働者の定義を労基法と同一としているものです。

 ・労働安全衛生法

 ・最低賃金法

 ・賃金の支払いの確保等に関する法律

 ・労働者災害補償保険法

 ・育児介護休業法

 ・労働契約法(「使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者」という条文だが、ほぼ同じ意味のため一般的に同一とする)



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◆労働組合法の労働者

労働組合法での労働者は以下のように定義されています。

第3条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者をいう。

労働組合法上の労働者は、労働組合の構成員として、使用者との間で団体行動権の行使を担保とした団体交渉法制による保護が保障されるべき者を指します。

労基法との大きな差として、「使用される者」という要件がありません。

賃金等で生活する使用されていない者、つまりは失業者も労働者の範囲に含まれます。

更に労基法上では労働者として認められない一人親方フリーランス等も労働組合法では労働者として認められています。


労働組合法では6つの要素を勘案して労働者性を判断します。

基本的判断要素

 ① 労務供給者が相手方の業務の遂行に不可欠ないし枢要な労働力として組織内に確保されているか(業務組織への組み入れ)

 ② 契約の締結の態様から、労働条件や提供する労務の内容を相手方が一方的・定型的に決定しているか(契約内容の一方的・定型的決定)

 ③ 労務供給者の報酬が労務供給に対する対価又はそれに類するものとしての性格を有するか(報酬の労務対価性)


補充的判断要素

 ④ 労務供給者が相手方からの個々の業務の依頼に対して、基本的に応ずべき関係にあるか(業務の依頼に応ずべき関係)

 ⑤ 労務供給者が、相手方の指揮監督の下に労務の提供を行っていると広い意味で解することができるか、労務の提供にあたり日時や場所について一定の拘束を受けているか(広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束)


消極的判断要素

 ⑥ 労務供給者が、恒常的に自己の才覚で利得する機会を有し自らリスクを引き受けて事業を行う者とみられるか(顕著な事業者性)

これら6つの要素をあわせて総合的に判断することによって労働者性を肯定していきます。



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◆雇用保険法の労働者

雇用保険法では以下のように定義されています。

事業主に雇用され、事業主から支給される賃金によって生活している者、及び事業主に雇用されることによって生活しようとする者であって現在その意に反して就業することができないものをいう。(業務取扱要領より)

雇用されて賃金で生活している者、というくだりはまだしも、雇用されることによって生活しようとする者であってその意に反して就業することができない者、も対象になります。

雇用保険は失業給付があるので失業者も対象になっていることが分かりますね。



◆まとめ

労働者の定義は理解できたでしょうか?

各法によって微妙に異なる定義は試験問題でも問われやすい箇所です。

社労士試験で主に出題される法律に絞って書いたので、このnoteを見れば一回で覚えることができますね。

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