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コーチングがダメ人間を作る?|コーチングのデメリット3選

皆さん、こんにちは。
リーダー育成家&作家の林健太郎です。

この記事では、普段あまり語られることのない「コーチングのデメリット」について書いていこうと思います。

コーチングという手法に関して言えば、その良い側面ばかりが取り上げられがちなのですが、完璧な手法などこの世の中に存在するわけもなく、当然コーチングにもデメリットというか不得手な部分があると考えています。

それを今日は3つの項目に切り出してお伝えしていこうと思います。
そして、この3つのデメリットを理解しながらコーチングを活用することで、より効果を高めることができますので、そんなことをイメージしながらお読みいただけると良いと思います。

※この記事は途中から有料記事とさせていただきますが、私の経験が豊富に詰まっていますので、もしよろしければご購入の上お読みください。

時間がかかりすぎる

コーチングという手法の最大のデメリットが、対話に時間がかかりすぎることだと私は思っています。

私たちコーチングのプロがセッションとして提供するコーチングの時間の単位はだいたい1時間、短くても45分というのが常識です。
そして、企業のリーダーがコーチングを活用する主戦場である1on1ミーティングもたいてい30分から1時間の時間をかけて実施されます。

いずれの手法も、一人の人間との対話の時間としてはかなり「長尺」であると考えます。

また、コーチングの会話は1回の「セッション」で完結することは稀で、継続したテーマを複数回に渡り対話していくことで解決や達成を目指すものとされています。

こんなことを鑑みると、コーチングにかかる時間は長いと言えるのではないかと思います。

例えば、ビジネスリーダーが部下に何か依頼をするとして、普段の会話なら

上司:ちょっといいかな
部下:あ、はい
上司:これ明日の会議に使う資料なんだけど、悪いんだけど参加者の人数分印刷しておいてくれるかな?
部下:わかりました

みたいな会話になるのではないかと思います。

これをコーチングの会話として取り扱うとしたら、こんな感じになるのかもしれません。

上司:ちょっといいかな?
部下:あ、はい
上司:会議の資料のことについて少し話したいんだけど、いい?
部下:はい、どうぞ
上司:いつもの会議で使っている資料について、○○さんはどんなこと感じてる?
部下:そうですね。。要点がまとまっていて見やすいと思います
上司:そうか、資料は見やすいと感じてくれてるんだね
部下:そうですね
上司:他にもあるかな?
部下:ええっと、他には特にないですが。。
上司:もし仮に、何か改善点があるとしたらどんなところかな?○○さんの意見を教えてくれる?
部下:そう言われましても。。そうですねぇ、会議では使われないページも意外とあるので、会議に使わないページは後でメールで送るとかしてもいいのかもしれませんね
上司:確かに、そういう考え方もあるよね。教えてくれてありがとう。
部下:あ、私そのメールで送るのやりましょうか?
上司:それは助かるよ!ありがとう
部下:ついでに、会議で配る資料も印刷しておきましょうか
上司:それも助かる!ありがとう

対比させるという便宜上、ちょっと会話を誇張していますが、相手の意見を聞き、整理し、洞察を深め、相手の行動を促すコーチングの手法であれば、このくらい丁寧な運びをするのではないかということはご理解いただけると思います。

先に例示した普段の会話にかかる時間がおよそ10秒なのに対し、コーチングを使った会話は約1分かかると計算しています。つまり、コーチングにかかる時間は普段の会話の6倍!ということになります。

多少誇張した会話の事例ではありますが、これだけを取ってもコーチングが時間のかかる対話の手法だということがわかります。

ですので、時間をかけてでもゆっくり相手の状況や意見を聞きながら話を進めたいときはコーチングを使う、より速やかに業務に着手したいときは使わない、などTPOに合わせて対話の種類を使い分けるような工夫が必要になってくるということを覚えておいてください。

関係性が近づきすぎる

いわゆる依存関係を生みやすいというのが、2つ目のデメリットです。

私はプロですので、依存関係を生まないように細心の注意を払ってコーチングをすることができるのですが、コーチングの手法自体は二者間に依存関係を生みやすい手法の一つではないかと考えています。

コーチングでは「話し手」は話すことに専念する、そして、「聞き手」は聞くことに専念するという、役割の明確な対話の手法です。そして、コーチは「聞き手」の役割を担っています。

人間界に一般的に存在する会話の多くは双方向の会話、つまりお互いが話したり聞いたり、瞬間的に役割を切り替えながら関わる会話をしています。

そのため、自分の話したい事柄だけを自由に相手に伝え続けるということは不可能で、ある程度相手の話したいことも受け入れながら、自分の話したいことも融通しながら話しています。

例えば、私が話したい分量が100だったとします。そして、相手が話したい分量も100だったとします。それを双方まるまる伝えたいという欲求を持ちながら会話をするわけですが、結果的には全てを伝えるわけではなく、例えば私の話を100のうちの50%程度伝え、相手の話をだいたい50%程度聞く、といったことを目指してお互いが融通し合う、といったことが起きるということです。

それが故に私たちは、100ある伝えたいことの全てを伝え切るという経験をする機会が少なく、「伝えたい」あるいは「聞いてもらいたい」という欲求が解消されず積み上がる傾向があります。

そのため、コーチが「聞き役」として話をたっぷり聞くとすれば、「話し手」はそのコーチに対して思いの丈を全て吐露し、それをコーチが静かに受け入れるという空間が生まれます。そのため「話し手」はコーチに好意を寄せやすいと考えられるのです。

この経験が積み上がると、「話し手」はコーチに「なんでも話していい相手」というラベルを貼り始めます。あるいは「何を言っても許してくれる人」というラベルを貼り始めます。

コーチングは本来、その相手の抱えている課題を解決する、あるいは、より良い未来を掴み取るために対話で関わるパートナーであり、その目的を達成するために厳しい側面も持ち合わせなくてはならないのですが、「話し手」側が「なんでも話していい相手」と考えすぎると、そこに甘えが生じ、コーチが厳しい関わりをしたときにそれを受け入れられず、関係性に亀裂が入るといったことが起きてしまいます。

例えば「聞き手」が上司で「話し手」が部下だっとしたら、部下はその上司に対して好きに話ができ、なんの緊張感もなく、自身の感情や好みを吐露するような関係に発展するということですよね。

例えば、職場の中で上司がコーチ役を担いながら少し厳しいアプローチを取ったとした場合、こういった関係が構築されていると会話は次のように展開しがちです。

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