TrueVoice_note向けタイトル画像

プロのコーチが愛用する質問を伝授しますが絶対に使わないでください

皆さん、こんにちは。エグゼクティブ・コーチの林健太郎です。

この記事は、私が制作した動画講座:DELICオンラインから、チャプター6でお伝えしている「質問」について解説していきます。

DOLタイトルバック

何回かに分けてお伝えしている「質問」のスキルですが、第1話では、なぜ質問が大切なのかという基礎的なお話、第2話では質問の大分類である、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの違いについてお話してきましたが、第3話では、より具体的にどんなフレーズを使うとよいのかということに迫っていきます。

質問リストを暗記すればいいわけではない

私が「どんなフレーズを使うとよいのか」と書くと、きっと皆さんは「私が使っている門外不出・秘伝の質問集」がいよいよ開示されるのかとお思いになるかもしれませんが、実はこの「質問集」という代物がコミュニケーションをおかしくしてしまうリスクになったりもするのが厄介なところなんです。いわゆる諸刃の剣。

私がコーチングスキル研修をしているときに、参加されている方々に例えば50の質問フレーズ集みたいなリストをお渡しすると、参加者の皆さんは張り切って、その質問を上から順に使い切ろうとします。

その労力やマジメさは大切なのですが、それでは「そもそもなぜ」質問をするのかという概念から遠ざかってしまいます。
質問は相手のためにするのであって、質問リストを制覇するのは「自分のため」の行動だと捉えると、相反する行為とも言え、逆効果になってしまうケースが散見されます。

では、リストを使えないとすると、実際的にどんな質問をするのがよいのでしょうか
今日はそのことを考えていきましょう。

スクリーンショット 2019-12-12 11.45.44

質問によって会話の方向は大きく変わるという事例

一つ皆さんに考えてほしいことがあります。
例えば、あなたの目の前に

「実は私、前から会社辞めて1年間留学しようと思ってたんですよね」

という部下または、友人が現れたとします。
その時、あなたが1つ質問をするとしたら、どんな質問をしますか?

スクリーンショット 2019-12-12 11.45.57

ぜひ考えてみてください。

DELICオンラインのチャプター6(↓動画中の14分44秒あたりからのシーンです)では、研修の参加者に同じ質問をしています。
参加者それぞれがどんな回答をするのか、ご覧になってみてください。

ここでは実際に参加者が使った質問のフレーズをリストにしてみます。

スクリーンショット 2019-12-12 11.50.00

へえぇ、そうなんだ、どうしたの?
・えー、留学?なんで?
・留学を決めたあなたに親友はなんと声をかけてくれると思いますか?
・何か新しいチャレンジを考えてるんですか?
・留学したらどんなことをしたいっていうイメージ?
・今、話していてどんなことを感じますか?
・一年間ってなんか理由があるの?
・前からっていつ頃から?

皆さんにとって一番しっくりくる質問はどれだったでしょうか?
きっと、十人十色で、人によってどれを好むかは異なってくるはずです。
実は、ここがポイントで、「正解となる質問」というのは存在しないんです。
その人、その時、その場、関係性などで、必要な質問は大きく異なってきます。

スクリーンショット 2019-12-12 11.51.51

また、どんな質問を相手に問いかけるかによって、その後の話の流れも変化しますよね。
質問の選び方によって話の方向や深さが大きく変わるということ、覚えておいてください。

プロのコーチが使っている質問フレーズを大公開

ここからはDELICオンライン、チャプター7の内容になりますが、実際に私がコーチングセッションで使っているフレーズを一挙に公開しています。ぜひ映像を確認してみてください。(動画の5分40秒からのシーンです)

このnoteの記事では、動画でご紹介している全ての質問のフレーズをご紹介するのではなく、幾つかフレーズとして大切そうなものをピックアップして解説します。

(1)いま、何を感じていますか?

実はこの質問、リーダーに「使ってみてください」とお伝えすると、「なんで職場で感情を聞かなきゃいけないんですか」とちょっと怒った顔で反論してくることが多い質問のフレーズです。

スクリーンショット 2019-12-12 12.04.20

これは、私たちがいかに感情を排除して働いているか、ということだったりします。
プロセスや求める結果は、特に職場環境の中では語らずにはいられない事柄ですし、思考していない時間は殆どないと思うので、実質的には誰かが問いかけずとも、自省できるものでもあります。つまり、殆ど聞くに値しない
かたや、感情は問われることが極めて少ないので、相手がより深く思考するきっかけづくりとして有効なんです。

(2)話してみて理解が進んだことはありますか?

この質問も、「いちいちそんなこと聞く必要ないでしょう、相手を馬鹿にしてますよ」なんて反論するリーダーが多かったりします。
これ、実際の会話の流れでは不要な質問に思えるのですが、この質問をすることで、相手が改めて内省し、
「自分は今何を言ったのか」
「どんな思考をしたのか」
「何を感じたのか」

を振り返り、再構築する機会を与えるもので、自分自身の理解度を口頭で確認させる戦略的な質問でもあります。

スクリーンショット 2019-12-12 12.05.42

人は数分話しただけでも、様々な気づきがありますので、会話の冒頭から使ってもらってもOKです。

(3)もし(成約になっている事柄)がなかったとしたら、どんなふうにしてみたいですか?

スクリーンショット 2019-12-12 12.06.22

これはコーチングの質問の代表格として広く知られている「What if…」という質問のしかたです。
未来志向で、もしいま阻害要因になっている事柄がなかったとしたら、というフレームを設定することで、実現可能性を度返しした斬新なアイデアや解決策を見出すために使います
相手の思考を広げたり、アイデアをたくさん出したいときに有効に使えます。

(4)今の状況を0から10の数字で表すとしたら、何点ぐらいですか?

これもコーチングの質問として頻繁に使われている質問のフレーズです。
定性的な感情や状況認識などは、相手の主観で受け取り方がかわるので、聞き手と話し手との間に齟齬が生まれやすいという特性があります。
たとえば「まだ十分な能力がない」という発言を相手がしてきた場合、十分というのが「あいまい」な指標になります。

スクリーンショット 2019-12-12 12.08.02

この指標に点数をつけてもらうことで、あいまいな指標を定量的なデータに変換することができるので、話を継続するときにお互いの解釈の違いが生まれるのを抑制できます。

(5)その点数を1つ上げるには、どんなことが必要ですか?

これは、1つ前の質問にプラスして使ってほしいフレーズなのですが、ここで気をつけたいのは「10点にするにはどんな事が必要ですか?」という質問にしないことなんです。
相手はもしかしたら「7点で満足」と思っている可能性があります10点が推奨値とは限らないということです。

スクリーンショット 2019-12-12 12.09.04

そして、10点満点というハードルは極めて高く、挫折を招きやすい指標でもあります。
反面、自身が現状評価として付けた点数から1点上げることはそれほど難易度が高くなく、比較的簡単にできそうだと捉えることができる点数ですので、会話が進みやすいという傾向があります。

(6)他に選択肢はありそうですか?

スクリーンショット 2019-12-12 12.09.49

過去の記憶や、顕在化された選択肢を選ぶことが得策とは限りません。
こういった、いわゆる「古い選択肢」を選ぶと、今までと同じような成果が出る可能性があります。ですので、その成果が好ましくないと思っている場合には、新しい選択肢を模索する必要があり、その扉を開けてくれるのが、他に選択肢はありそうですか?という問いかけなんです。
これは、一度と言わず、会話の中で複数回使ってみてください

(7)この話題を継続してお話する必要はありますか?

スクリーンショット 2019-12-12 12.11.03

これも「バカみたいな質問」に聞こえるかもしれませんが、これは戦略的な質問です。
私たちは誰かと会話をしていると「相手が何か解決策を考えてくれる、相手が新しい場所に連れて行ってくれる」といった期待を無意識的にしてしまいがちです。
これは無意識的な依存関係の始まりを意味しています。
こういった「依存」を断ち切るために積極的に使いたいのがこの質問のフレーズです。
継続して話をしたいかどうかは、本人に確認して、本人が決めるんだよ、ということを遠回しに伝え、教育していくようなフレーズだったりします。

質問は個別化して使うこと!

ここでご紹介した質問のフレーズ以外にも、動画では様々な質問のフレーズをご紹介しています。
皆さんにとってはどの問いかけが一番深く心に響いたでしょうか?
どれを使ってみようと思ったでしょうか?

スクリーンショット 2019-12-12 12.18.37

そして、最後に一つ、改めて念押しのようにお伝えしたいのが、質問は個別化して、相手の状態に合わせて使うということです。
プロのコーチが使っている質問のフレーズだからといって、安心して闇雲に使えば逆効果になることもあるということ、改めて胸に刻んでくださいね。

さて、ここまでDELICオンラインから「質問」のスキルを解説してきましたが、まだまだお伝えしたい事柄がありますので、今後も継続して記事を書いていこうと思います。

次の記事を待ちきれない!という方は、ぜひ動画↓で先に学びを進めてみてくださいね。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?