
7. SAINT LAURENT MEN'S SUMMER 2024 コレクションレヴュー
SAINT LAURENT MEN'S SUMMER 2024

ファーストルックは、シーズンの方向性を示す
ルックとして重要な役割を果たす。
前回のWINTER 2023のメンズ、そしてウィメンズで自身のピークではないかと思うような素晴らしいコレクションを発表したアンソニーヴァカレロ。

ベルリンで発表した今回は、ドイツのライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の映画『Querelle(ケレル)』でパリの俳優ジャンヌ・モロー(Jeanne Moreau)が歌った曲“Each Man Kills The Thing He Loves(人は愛するものを殺す)”がテーマに、前回の流れを継承した素晴らしいコレクション。

世界的スター共演で描かれる男たちの愛と欲望。
出演 : ブラッド・デイヴィス、フランコ・ネロ、
ジャンヌ・モロー
やはり、今回のイメージのスタートは前回完璧なショーだったウィメンズからみたいです。

ウィメンズコレクションを着るメンズと言う事で、それが顕著に出ていました。
特に象徴的だったのはルック5。
このスタイルは様々なルックで登場しています。
アウターのジャケットはショルダーが広く、ラペルの大きいボクシーなジャケット!
そしてインナーは肌がかなり露出したタンクトップ!

左がルック5。
そのインナー以外にもトップスは肌が見える、ホルターネック、更にはオフショルダーやシフォンのノースリーブ、シアーシャツ等、ジェンダーレスでセンシュアルなアイテムが特に目立ちました!
ボウタイ等のトップスから流れるベールも美しい!

肌を見せる事を強調したトップス類。
Tシャツやスウェットに細身のパンツを合わせたシンプルなルック34、42も、これだけ色気が出せるのはアンソニーのサンローラン置いて他にはない。
個人的にも好きなルックです。

カジュアルなスウェットやTシャツも
かなり印象が変わる。
そのジャケットやトップスに合わせるのは細身のパンツにヒールのブーツ!
パンツのシルエットが前回より細くなったとなと言う印象!

ボトムスが太めから細めに変化している。
ドットやレオパード柄と言うイヴ・サンローラン自身の好きなモチーフも良いアクセントになっていました!

建築家ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe)が1968年に手掛けた国立新美術館の会場も、コレクションのムードを盛り上げたのは言うまでもありません!

ガラス一面の会場は夕陽により、
ノスタルジックな雰囲気になる。
ウィメンズコレクションの要素にメンズのコードを入れる!
そして、クラシックとモダンが交差する!
より方向性を明確にしたコレクションでした!

ストリートが最盛を極めた2017年以降、少しずつクラシック、エレガントなムードが漂ってきていて2022AW、ようやく様々なブランドが足並み揃えてコレクションで発表し、本格的にトレンドの流れが変わって来ています!
その流れを作ったのはアンソニーのサンローランに他ならない!
アンソニーは、2017年にエディから交代してからもエディの雰囲気を消す事なく、歴代デザイナーに敬意を表紙ながら直向きにサンローランの歴史やアーカイブに向き合った結果、ここ1〜2年間の神がかったコレクションに繋がっていると思う!




クラシックでエレガントな服は、日本においてリアルクローズかと言われると中々難しいが、確実にこの流れは続いていく!
それと同時期、若しくは少し前からジェンダーレスがキーワードとして台頭してきており、現在ではかなり浸透している!
女性と男性の境界線がなくなりつつも、更に一歩進んだ"ウィメンズのような作りだが、メンズであればメンズ服"にしっかり落とし込むと言う、2022AWのトレンドの流れがありました!

それもアンソニーのサンローランもそのトレンドを担っているブランドの一つだと思います!

今後も更に研ぎ澄まされていくだろうサンローランから目が離せません!