[雑記] カルチャーフィット重視の採用で、組織は多様性を失うのか
ちょうど1年ほど前(マジかよ)にこんな記事を書いた。
当時それなりにシェアされたし、今も読まれている。他の真面目に書いた記事の多くは大して読まれていないので、はっきり言って複雑だ。
さて、その中で、「カルチャーフィットとか言ってると均一的な人ばかり採用されて多様性を失うんだよなぁ」という、意識と偏差値が高そうなコメントを何度か見かけたことがある。
もちろん、カルチャーフィットを「今いるメンバーとの相性や好き嫌い」と捉えるとそうなるかもしれないが、そこで言う多様性とは
「甘いものばっか食べてると体に悪いから野菜も食べなさい」
のような話なんだと思う。そういうことならそれ自体は間違いないだろう。しかし、それはカルチャーフィットとは別の話だ。
カルチャーフィットの定義
カルチャーフィットとは、「組織が重視する行動様式を無理なく体現できること」だ。日本語でのしっかりした定義が見当たらなかったのでここでは勝手にそう定義しておく。
英語では
"the individual’s attitudes, values and beliefs being in line with the core values and culture of an organisation" (個人の態度、価値観、信念が組織の中核的な価値観や文化と一致していること)
https://www.companymatch.me/cultural-fit/index.html?lang=en
のようなのもあり、確かにしっくりくるが直感的にはやはりイメージしづらい。「組織の文化って何」「文化に一致するってどういうこと」と聞かれて具体的に示せる人は少ないだろう。
組織文化、を自分の言葉で意訳するなら「組織内で共通して見られる行動様式(の集積)」だ。自然発生もあるだろうが、組織が理念を実現するために、長期にわたって積み上げられてきたものである場合が多い。
文化に適応するということは、そうして積み上げられた、組織が重視する行動様式を自身も体現していくことに等しい。
カルチャーフィットする人とは、それに対して嫌悪感、ストレスを感じない人だ。そうでない人が企業の価値観に合わせた思考や行動を求められるのは苦痛でしかないだろう。
だから、色々ひっくるめれば「カルチャーフィットとは、組織が重視する行動様式を無理なく体現できることだ」とするのが個人的にはしっくりくる。
カルチャーフィット重視≠均一性の重視
カルチャーフィットを重視する上では、メリットを得るよりリスクを回避する意味のほうがはっきり大きい。
「甘いものを食べたい、野菜は食べたくない」が個人的な好き嫌いでの採用だとするなら、採用においてカルチャーフィットを重視するということは
「小麦粉アレルギーの人が料理に小麦粉入っていないか確認する」
のようなことだ。
そんなことないよ、という人は実際に食ってみて後からなんとかすればいいと思うが、それは大変コスパが悪い気がするので事前に確かめる習慣をもつべきだろう。
組織として、受け入れるべきではない価値観や行動、それを促進する要素は受け入れるべきではないし、許容すべきではない。組織文化など壊すのは簡単だ。
「受け入れるべきではない」ではない新しい価値観には広く柔軟に向き合い、必要に応じて取り入れ、変化していけばいい。
終わり
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