「臨床のコツ」を教えるということ
「同僚から尊敬される理学療法士になりたい」
「一目置かれるセラピストになりたい」
そうやって向上心を持って勉学に励むことは悪いことではないと思う。
モチベーションの理由はどうあれ結果として患者様に還元されるのであれば問題はない。それに私自身若手の頃は「誰よりも素晴らしい治療かでありたい」と思っていた。今現在もその野心を捨てたわけではないが、そこに向かうためのプロセスの考え方は変わったと思う。
特殊な技術、様々な資格、そういうものも必要だと思う。どんな有名な先生と仕事をしている。こんな有名なスポーツチームと契約している。自らに対する付加価値の置き方は様々である。
僕が若手のころは研修会がとても多かった。
コロナ禍で減ってはいるが、今年度からまたいろいろ見るようになった。
数年経った頃から研修会の講師については疑問に思うことも多くなった。
「普段臨床をほとんどやっていない先生が臨床のコツを話す」
「学術メインの先生がハンドリングを話す」
よくある研修会の形ではあるが、週に数日臨床をやっているからというものではない。日頃から担当の患者を良くしようと試行錯誤し、そのために勉強し、その中でアップデートされた知識・技術が本来の「臨床のコツ」であるべきである。この年数になると普段担当を持たず、代診のみしか行わない先生も多くなってくる。別にそれが悪いことではないが、臨床のコツを教えるのであれば、その人はしっかり臨床をやっていてほしいと思う。
なので可能であればその先生の臨床場面を見学するのが良いと思う。実際の対象者を前にして何をしているかが本当の臨床であり、人前ではうまいことしゃべることもできる。
若い時にできるだけ実際の臨床場面を目にする機会が多いと、研修では学べないことも多く吸収できると思う。