ハラにペ第4回 「専門医に見てもらう」
この記事は2018年の退院直後に付けていた記録を元に書いています。
今回は、前回の病院に初めて行った時の話の続き。
専門医の先生の部屋へ移動
2018年4月4日午後、緊急病棟から専門医のいる病棟へ移動。
前回書いたスキャンの段階で日仏ハーフの日本語を話せる女性看護師さんがついていてくれていた。病気にプラスして、フランスの医療の仕組み自体が全くわからず、全てに対して「?」だった中で、色々段取りをつけてくれて誘導してくれたのでとても助かった。
この日は運良く先生が出勤している日だったので、そのまま当日に流れで見てもらえる様に段取りをつけてくれたのも彼女である。
専門医である先生の診察室の前に到着、この部屋専用の待合室で待機。万が一、先程とは別の緊急な検査が必要になった時に備えて飲食は出来ない。水だけを少し飲んだ。
かなり待った後、診察してもらう事ができた。
まず専門医の先生に事情を話し、スキャン結果を見せ、エコーで見てもらい、その後は先生からの説明。
先生からの説明そして告知
「左の腎臓に幅9センチのガン性の腫瘍があります。ステージ2です。幸いな事に転移はしていないので、手術で摘出してしまえば後は放射線や抗がん剤治療は必要ありません。手術で摘出してしまえばそれで終わりです。経過を観察しつつ、日々の食生活に気をつけるだけで良いでしょう。ただ腫瘍が大きいので全開腹して、左腎臓の全摘出となります。」
先生はあっさりと何事も無いかのようにサラッと告げた。
あまりにもあっけなく、こちらが「今、ガンて言ったのか?」と理解する間もない位のテンポで話は進む。
自分の想像とは全く違うスタイルの告知だ。
いわゆるガン告知と言ったら診察後に…
先生「奥様ちょっと…」
妻「あ、ハイ…」
先生「旦那さんの腎臓にはガンがあります…」
妻「…」
こういう風なやりとりは日本のテレビドラマの中だけなのか?
それとも今回のは重く捉えるほどでもないからなのか?
それともサラッとやり過ごしてあまり患者にストレスを与えないようにする作戦なのか?
いずれにせよ多少の覚悟はあったとはいえ、それなりにショックだったのは間違いない。先生も一度目のあっさりした告知の後は「ガン」という言葉を使わないようにしたり、変に不安を駆り立てないように話してるような気がした。こういう告知スタイルなのかもね。余命数ヶ月…って感じでもなさそうだし…。
先生の話では「腎臓の腫瘍は発見されにくく、この位の大きさで見つかるのはよくある事です。」とも。肋骨の中に腫瘍が隠れていた事と、痛みを感じない臓器であるが故に、長い間全く異変を感じなかったようだ。
腎臓は生検しない
通常ガンの疑いが有ると、その組織の一部を取る「生検」というのをするらしいのだけれども腎臓の場合血流が多い為、その生検による出血で転移のリスクが発生するので、生検はしないらしい。
しかしながらガンの様な悪性腫瘍の場合、良性の場合とは明らかにカタチが異なるので、専門医ならその見た目でほぼ間違いなく分かるそうだ。
その他には、一週間の入院とその後一ヶ月の自宅療養で大丈夫で、2〜3週間の内に手術をするという話や、彼は他の病院でも執刀医をしており、そちらの方が経済的負担が少なくて済むけれど、どうするか? 取り敢えず両方の病院の見積もりを送ってもらう、という話をした後に痛み止めの処方箋を貰ってその日は家に帰る事が出来た。
病院を出る前に朝にお世話になった日本人の先生にもう一度会って病状を報告した。
16時頃にはなっていた。
痛みもスキャンの時あたりに無くなってから、ぶりかえす気配は全く無いので20分位の道中を歩いて帰った。朝から何も食べていないので「パン屋があったらオヤツでも買おうか?」とか言いながら。
帰り際に薬局と次の予約
通りかかった薬局で処方箋に指示された痛み止めを購入した。フランスの病院では院内に付属していたり提携している薬局は一般的では無いようだ。任意の薬局に処方箋を持参して購入する。1つ目の痛み止めは、もし軽く痛くなってきたら…用のもので、フランスでは一般的なモノ。これは風邪でも怪我でも精神的な不調?でも…どんな症状でも取り敢えず飲んでみる的な国民的なヤツ。2つ目は我慢できなくなるくらい痛くなったら…用で、今まで見た事が無いヤツ。それらを購入。いずれも飲み薬。
突然のガン告知や全開腹手術の話で自分としてはショックだったのだけれど、いつも通りのカミさんの明るさに救われた。多分ここで一緒にどんよりされていたら、辛くなっただろうな、と。
その2日後に連絡があり、4月9日また来てください、との旨。多分その時に色々な疑問点を更にクリアにしたりと手術の詳細を詰めるのだろう。