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近未来はどうなるのか

今日、こんなニュースを見つけた。

ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から、精子や卵子のもととなる細胞を大量に作る方法を開発したと、京都大の研究チームが発表した。チームの斎藤通紀(みちのり)・京大高等研究院教授(細胞生物学)は「簡単に増やせる培養法を確立できた。生殖細胞の形成過程や、不妊が起きるメカニズムなどの解明に応用できる」と期待を寄せる。

Yahooニュースより抜粋

かがくの ちからって すげー!(ポケモン)

精子や卵子を自由に作製することが可能になり、また人工子宮のような受精卵を生育する体外の装置が開発されたりしたら、デザイン化された人間をどんどん増やし続けることができるようになるのだろうか。もしかしたらそう遠くない未来に実現するのかもしれないね。
ということで今日は、近未来を妄想してみる。

20XX年。
人の精子や卵子を自由に安価で大量に作製できるようになり、精子バンクや卵子バンクのようなシステムが広く導入された。そうなると世間では、あの男性俳優の精子が良い! あの女性アイドルの卵子が欲しい! というような要望が出てきて高値で有名人の精子や卵子が販売されるようになった。体外での妊娠装置が開発され、男性も女性も気軽に受精卵を生育できるようになり自分が希望する遺伝子パートナーを選択できるようになった。
もしくは自分の精子や卵子ではなく、希望する男性の精子と女性の卵子を自由にマッチングできたりして。よくネット上で言われるトップアスリート同士の組み合わせとか、この二人の遺伝子を掛け合わせたら最強の子ども生まれるんじゃね? みたいな、ポケモンでいう卵厳選とかDQMで魔王を配合するみたいな、ありとあらゆる組み合わせが誕生したりして。
……いや、まあさすがに倫理上の歯止めがかかるだろうけど、実現可能なまで科学技術が発達するのは時間の問題だと思う。

人類のサラブレッド化。
僕が懸念する未来の一つなんだけど、最悪の想像としては起こり得る。この二人の遺伝子を掛け合わせたら○○の分野で最強、という組み合わせばかりが生まれて、適性の低い個体は弾かれる。そしてどんどん人類は社会の発展と維持のためにのみ存続が許される奴隷になっていく。支配者なき奴隷の集合体になった人類は、生まれた時から適性分野が決められて、その能力を高める環境しか与えられなくなる。
高IQ同士を掛け合わせて作製された知能指数の高い個体だけが勉強するようになり、美男美女の掛け合わせから生まれた子はモデルになるためだけの訓練に明け暮れさせられ、トップアスリート同士から作られた子はもちろんスポーツ選手になるために育成される。

最初は難色を示していた国が多く、国連で人工受精卵禁止法なるものが可決されるが、途上国を中心に秘密裏に取り組んでいく国が出ると瞬く間にノーベル賞を総なめにされ、トップモデルの顔ぶれもガラッと入れ替わり、スポーツの世界記録は次々と塗り替えられて、ようやく途上国に経済的遅れを取るわけにいかなくなり人工受精卵禁止法は否決されることになる。
22世紀に入るとゲノム編集で強化された人間も続々と誕生し、先進国は遺伝子編集技術に巨額を投資して人類総デザイナーズベイビー時代に突入していく。

更にはこんなニュースもある。

動物の臓器を人間に移植する「異種移植」の臨床応用が、研究の最前線・米国で急展開を見せている。ブタから人間への移植が最近続き、実用化へ新たな段階に入った。これまで免疫の拒絶反応やブタ特有のウイルスが大きな壁となって立ちふさがってきた。数チームが競い、一翼は日本人医師が率いる。人工多能性幹細胞(iPS細胞)と並び、実用化されれば臓器不足が一気に解消される。

Yahooニュースより抜粋

人間の臓器と形や大きさが近いことから、豚の心臓や腎臓が既に海外では移植されている。
まだ今のところの成果は芳しくないようだが、それも科学技術の発展が解決してくれるのだろう。
僕はこの豚や他の動物種になら何をしても許されると信じ込んでいる人間至上主義にとてつもない嫌悪感を抱いているし、もっと言えば人間至上主義ですらなく脳至上主義にさえなっていることに強い危惧がある。しかし豚の臓器移植に関しては、人の命を救うという大義名分があるだけに倫理上の歯止めがかからず今後ますます発展して世界中に広がっていくんじゃないだろうか。

脳以外の臓器全てを他の動物種のもので賄い、果ては四肢や眼も人工の義手や義眼にしてもなお、それは人間なのだろうか。
人間よりも優れた臓器を持つ動物が見つかった場合、死の宣告を受けずとも移植する人が現れるかもしれない。腕や脚を猛獣のものに付け替えたり、翼を生やしたり、脳にCPUを埋め込んで頭の回転を上げることだって可能になるかもしれない。ChatGPCだって外付けの脳に近い存在になっていくだろうし、こうなるともはや人間いらなくね? って話になってくる。
遺伝子編集された各分野の適性個体や、あらゆる臓器を移植された強化人間や、事故に遭うリスクを減らすために脳波で動くアンドロイドが代わりに外に出て活動する時代になるかもしれない。

22世紀末。
世界には、自然な形で生まれた人間は存在しなくなった。遺伝子編集によって生まれた各分野の適性個体の前には社会上での生存競争で歯が立たずに駆逐され、普通の人間は遺伝子を残せず姿を消した。
疾患リスクのない優れた動物種の臓器が見つかると人間の臓器は取り除かれ、疲労が溜まる筋肉は非効率とされて義手や義足に付け替えられて、永久エネルギーが見つかれば身体に取り付けられて食事をしなくても済むようになり食糧問題は解決した。快楽や幸福感の正体は突き止められて人為的に生成できるようになり、あるいは欲求を抑制するようになり、感情的になる人間はいなくなった。
感情が消えた人々は文化を愛することもなくなり、世界から音楽が消え、文学が消え、芸能やスポーツ、挙句には恋愛や結婚制度もなくなった。科学だけが発展を続け、世界は超効率化され、宇宙開発も目覚ましく進歩した。

「あれ? 人はなぜ生まれてきたのだろうか?」
……そんな疑問を口にする人間は、もう一人残らず絶滅した後の話だ。

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遠藤健太郎 Kentaro Endo
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