神去なあなあ日常、を読んだ。
角幡唯介さんが過去に読まれた本を、自分も読む追体験シリーズ。
本書は旅人の表現術で紹介されていてた。三浦さんといえば「舟を編む」が有名過ぎるので、天邪鬼な自分は意識して避けてきた。しかし、角幡唯介さんが対談されているなら話は別。ということで素直に読む。
どうやら林業小説だということが旅人の表現術で述べられていたが、角幡さんも指摘されていた通りに、ただの林業小説ではないことは確かだった。
神隠しをはじめとする都会人の理解を超越した出来事が、舞台となる村では普通に起こり、村人もそれを当たり前のように受け入れている。もちろん小説という世界だから、設定だと言ってしまえばそれまでなのだろうが、きっと2022年現在でも、この小説の世界と近しい、もしくはそれ以上の不可思議な場所があるに違いないと思う。
旅人の表現術では「日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか」という興味深いタイトルも紹介されており、こちらは近いうちに絶対に読みたい。
このキツネに..を見た瞬間に、角幡唯介さんの「雪男は向こうからやってきた」を思い出した。
この「向こうからやってきた」という言い回しが絶妙である。自分は東京ディズニーランドに行けば感動して泣いてしまうし、44歳にしてなおサンタクロースは実在すると思っている。もちろんおとぎ話・エンタメ要素も承知しているが、本当にどこかにいるのでは、と本気で信じている。
だから、自分は登山で遭難するとサードマンを見ることができるのだと思っている。登らないけど。
というわけで、今からサードマンを読みます。2回目。
余談:いつしか明治神宮前の参道を歩いた時、言い知れぬ恐怖心を抱いたことがあった。平日の昼間で傍には自分のような参拝客もいたのに。それをトレイルランをやっている知人に話したら「正しい感覚です」と言われたのを思い出す。彼は山の中を走っていると動物になったような気持ちになるそうだ。なるほど、なんとなく理解できる。