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総合型地域スポーツクラブとフィットネスクラブはどう違うの?

 どうも!ふじみスポーツクラブの上杉健太(@kenta_u2)です。埼玉県富士見市で、誰もが、いつまでも、自分に合ったスポーツを続けられる地域社会の実現を目指して、総合型地域スポーツクラブの運営をしています。

 ふじみスポーツクラブは2021年4月に立ち上げたばかりのクラブで、今はまさに立ち上げ期です。クラブの存在を認知してもらう為に、チラシのポスティングなどを毎日のようにしているのですが、そこでたまに住民のかたと直接お話できることがあります。

「こんにちは!ふじみスポーツクラブといいます。このあたりのかたにチラシをお配りしているのですが、よろしければ受け取っていただけませんか?」

と言った感じで話しかけさせてもらうんですね。ほとんどのかたは快く受け取っていただいてそれで終わりなのですが、中には、

「スポーツクラブ?どこにあるの?」

と質問をしてくださるかたもいるんです。

 これに対して私は、

「市内の色々な公共施設で活動しています」

と答えるわけですが、おそらくこの答えを聞くまで、質問をしたかたは、「スポーツクラブ=フィットネスクラブ」と思っていたのでしょう。「あ、そういうクラブね」と頭を切り替えるような瞬間があります。

 こういったケース以外にも、総合型地域スポーツクラブとフィットネスクラブを比較する見方というのはこれまで何度もありました。総合型地域スポーツクラブの運営者の中には、民間のフィットネスクラブを毛嫌いしているような人もいます。

 でも一般的には、「総合型地域スポーツクラブとフィットネスクラブってどう違うの?」という感じだと思うんですね。

 そこで今日は、まさにこの疑問、『総合型地域スポーツクラブとフィットネスクラブってどう違うの?』をテーマにお話してみたいと思います。

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運営者が違う

 いきなり結論めいた部分になるのですが、正直言って、総合型地域スポーツクラブとフィットネスクラブを区別する明確な基準はさほどないと思っています。ただ一つほぼほぼ言い切ってよさそうだなと思える基準があります。それが、『運営者』です。

 国が推進している総合型地域スポーツクラブの運営者は、『地域住民』とされています。具体的に言うと、地域住民が組織における正会員になり、クラブの総会における議決権を持ち、経営の判断に加わることができるということですね。地域住民が自ら運営しているということです。

 一方フィットネスクラブの場合は、そうではありません。例えばフィットネスクラブ最大手のコナミスポーツクラブは、東京都品川区に本社を構える『コナミスポーツ株式会社』が運営者です。コナミスポーツクラブは直営だけで全国に168店舗もあるそうですが、各地域の住民がその経営に加わっているということはなく、東京都品川区に本社を構える『コナミスポーツ株式会社』が全て経営しています。(※雇用されているスタッフには当然地域の人が入っていることはありますよね)

 これが大きな違いですね。どちらも、その地域の人を幸せにするために事業を行っていることに変わりはありませんが、運営(経営)主体には違いがあります。(※これは、良い/悪いの話ではないので、フラットに読んでくださいね!)

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運営形態が違う

 2つ目は、運営者が違うことと似ているのですが、運営形態が違うということを挙げておきたいと思います。具体的に言うと、非営利目的か営利目的かの違いです。

 まず国でも推進している総合型地域スポーツクラブは、非営利目的のクラブです。「非営利」と聞くと、「ボランティア」と思い浮かべる人が多いのですが、そうではありません。それは間違った知識なので、なるべく早めにアップデートしてください(笑) 『非営利』の条件は親族経営でないとか、個人経営でないとか、色々あるのですが、一番大事な定義は、「利益を分配しない」です。

 スポーツクラブの場合、会費や参加費、施設使用料などで売り上げを作ります。そこから、人件費や用具費、施設管理費などの諸々の経費を差し引いて、残ったお金が利益となります。
 非営利の組織の場合、これを翌年度の会計に繰り越すなどしてあくまでも事業に使います。利益が出たからと言って、議決権を持つ正会員や理事に分配するようなことはしないということです。これが非営利の組織であり、総合型地域スポーツクラブはこのように運営されています。

 一方、多くのフィットネスクラブは株式会社という組織形態です。株式会社というのは、株主総会を最高意思決定機関とした営利目的の組織です。会社の運営の為に株を出資者たちで持ち合い、会社が事業を行って作った利益を、出資者たちで分配し合うという仕組みです。

 これが、総合型地域スポーツクラブとフィットネスクラブの大きな違いの2つ目です。
 総合型地域スポーツクラブの場合は、利益をまた地域住民自身の活動に使えるというメリットがある一方で、大きな資本がない為活動が小規模になりやすいというデメリットがあると思います。
 フィットネスクラブの場合は、大きな資本を元に事業を展開するので充実したサービス(施設やスタッフなど)を用意できる一方、利益を株主に還元しないといけませんから、会費や利用料などが比較的高くなる傾向があります。また、利益が出ないクラブは撤退してしまう可能性も高いです。

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活動場所の違い

 活動場所の違いも傾向としては挙げることはできます。
 総合型地域スポーツクラブは活動拠点を地域の公共施設に点在させますが、フィットネスクラブは自前の大規模施設に置く傾向があります。しかしこれはあくまでも傾向の話です。総合型地域スポーツクラブだって、自前の施設を持って、そこで事業を行ってもいいわけなので。ただ実際は、自前の施設を持っている総合型地域スポーツクラブはほとんどなく、点在する学校施設や公共施設を拠点に活動を行っています。

 一方フィットネスクラブは、営利目的という運営形態から公共施設などで事業を展開することができませんから、自前の施設を持ってそこで集中的に事業を展開することがほとんどです。

 学校を活動場所にする場合は、地域住民が多く住んでいる可能性が高いので、家からクラブに通う人には利便性が高いです。ただし公共施設の場合、自治体のデザイン次第では非常に行きにくい場所に作られていることも多く、学校と同じように考えることはできません。土地が余っているからと、人が住んでいない地域にあえて作られている施設も多いです。

 フィットネスクラブの多くは、駅前に出店していると思います。これは、住んでいる人が多いというのもありますが、通勤客をターゲットにしているということでもありますよね。ここにやや、”子どもとお年寄りをメインターゲットにしている総合型地域スポーツクラブ”と、”働き世代をメインターゲットにしているフィットネスクラブ”という性格の違いも見えてきます。

(※最近はフィットネスクラブも子どもをターゲットにしたコンテンツを増やしているようですね!)

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 以上の3つが総合型地域スポーツクラブとフィットネスクラブの主な違いだと思います。細かいことを言えば、サービスに対する考え方の違いとか、スタッフの対応の違いとか、雰囲気の違いとか、色々出てくると思うのですが、それは総合型地域スポーツクラブの中でも違いますし、フィットネスクラブの中でも違うので、両者を分ける基準にはならないかなと思います。

 最後にくれぐれも言っておきますが、これは良い/悪いの話ではなく、ただただ「こういう違いがあるよ」というだけの話です。総合型地域スポーツクラブの一部の人がフィットネスクラブを毛嫌いしている主な理由は、「営利目的だから」だと思うのですが、私は個人的にはそこは本当にどうでもいいと思っています。営利目的だろうが非営利目的だろうが、大事なのはそこを利用する人を幸せにできているかどうかであり、それが持続可能なものかどうかです。非営利を言い訳に努力しない組織よりも、必死に利益を出そうとしてサービスを向上させている営利目的の組織の方が私はリスペクトします。

 いずれにせよ、フィットネスクラブだって総合型地域スポーツクラブだって、やっていることはほぼ同じです。もっと両者が仲良くできるといいなと思います。一度フィットネスクラブでも働いてみようかな(笑)


 ということで今回は、『総合型地域スポーツクラブとフィットネスクラブはどう違うの?』というテーマでお話しました。
お読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5