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子どもを指導する時にイメージするのは今じゃなく未来

 壮大な目標に向かって人類で一丸となって進んでいるイメージ。

 どうも、ふじみスポーツクラブの上杉健太(@kenta_u2)です。埼玉県富士見市で、誰もがいつまでも、自分に合ったスポーツを続けられる地域社会の実現を目指して、総合型地域スポーツクラブの運営をしています。

 今日は、『子どもを指導する時にイメージするのは今じゃなく未来』というテーマでお話したいと思います。

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 子どもの指導にあたる時に私がいつも見ているのは、現在目の前にいる子ども達ではなく、10年後、20年後の未来の子ども達の姿です。

 この子達はその時に何で社会に貢献していて、その子達にとってスポーツはどう役に立っているか。それをイメージします。

 ある子は得意なスポーツでリーダーシップを養い、組織のリーダーとして活躍しているかもしれない。

 ある子は研究者として活躍し、スポーツで息抜きをすることで研究成果を出し続けているかもしれない。

 そういう未来を想像しながら、目の前の子ども達をみています。そうするとスポーツというのは、実に多様な役立ち方ができるのだということが分かります。そして、これから何百、何千という選択肢によって分かれていく未来に対して、子ども達がスポーツを最大限生かせる方法を私が提示できるだろうかと思い悩みます。そしていつもすぐに答えが出ます。

「無理」

 私ごとき凡人には到底無理なんです。「この子にとってスポーツは、息抜きであることが一番良い」とか、「この子にとっては職業の一つとしてスポーツはあるべきだ」とか、そんな判断はできない。到底無理。そもそも、10年後、20年後の社会だって絶対に正確に想像できている気がしない。そんな未来に向かっていく子ども達に、「絶対にこうあるべきだ!」「こうしろ!」なんて言えない。恥ずかしすぎる。

 だから私は行き先は子どもたち自身が決める。コーチとしての私はそれをひたすら後押しするだけだと思っています。

 こう考えると、コーチがやってはいけないことが明確になってきます。それは、『子ども達からスポーツという持ち駒を奪ってはいけない』ということです。どのような人生を送るにしても、食っていく為の手段(仕事)は必要だし、息抜きも必要でしょう。仲間を必要とする人生もあれば、意識的に健康をつくりにいく人生もあるでしょう。これらのどのような人生においても、スポーツは使いようによっては非常に役に立つわけです。スポーツという駒は、かなり幸せな人生を送る為に有能な働きをしてくれます。

 そのようなスポーツに対して、偏った価値観を植え付けてしまって、選択肢を狭めてしまうことが大人の重罪だと思っています。本当な前にも横にも後ろにも斜めにも移動できる駒なのに、駒を持っている人が「前にしか移動できない駒だ」と思ってしまえば、後ろや斜めの選択肢は消えてなくなります。

 例えば、コーチの指導が結果的に子ども達に、「スポーツは勝てなければ価値がない」という価値観をもたらしたとしましょう。すると人は、”勝てる限界”が見えた時にスポーツをやめてしまいます。「甲子園を目指したけどダメだった。野球はもう高校でやめるよ」みたいなやつですね。「ここが俺の限界だったんだ」と。もう前に進む道はなくなったのだ、と。

 勝利を目指すことで得られるものもスポーツには当然あります。しかしそれだけでは絶対にないわけですね。例えば全国大会を目指していた人や、プロスポーツ選手になることを目指していた人が、何らかの理由でそれを断念したとしても、スポーツがもたらす他のメリットを享受するチャンスが失われたわけではないんです。後ろや横、斜めに進む道がまだあるんです。

 チャンスを失わせるのは、いつでも自分の視野です。本当はすぐそこに落ちているものに気付けない。視野が狭くなっているからです。視野とは価値観です。狭い価値観で物事を規定してしまうと、それ以外のものが見えなくなります。本当は寛大で多様なスポーツを、偏った価値観で狭めてしまうことは、子ども達が将来スポーツで享受できるはずだったメリットを奪うことになるわけです。私はこれがとんでもない重罪だと思っているわけです。

 子ども達の未来において、いつまでもスポーツが傍にいる為には、少なくとも「スポーツは嫌いじゃないし、ちょっとはできるよ」という状態であることが必要です。このベースを全員が持っている状態を目指すのが、私の使命だと思っています。プロを目指すのもいいし、あくまで息抜きとしてやるのもいいし、体力をつける為にやるのもいい。そこからは個別案件。総合型地域スポーツクラブなら、それらの全部のニーズに応えられるコンテンツを作りに行くだけ。でも、どのようなスポーツ活動をするにも絶対に犯してはならないのが、『スポーツの偏った価値観を植え付ける重罪』。

 いつでも自分に言い聞かせていることは、「目の前の人にとってのスポーツを絶対に否定しない」ということと、「今の子ども達を絶対に評価しない」ということ。彼らが結果を出すべきなのは、10年、20年後の未来だから。

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 さてもう一つ、子どもの指導をする時に思っていることをお話します。

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5