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『スポーツ』『プレイヤー』『指導者』のバランスが大事

 総合型地域スポーツクラブ マネジャーの上杉健太(@kenta_u2)です。今日は、『スポーツとプレイヤーとコーチのバランスが大事』というテーマでお話したいと思います。

 総合型地域スポーツクラブの多くは、いわゆる”教室事業”を展開しているクラブが多いと思います。教室というのは、簡単に言ってしまうと指導者(先生やコーチ)から指導を受けられるサービスですね。

 私が現在クラブアドバイザーを務めている一般社団法人たかぎスポーツクラブの場合、数年前から”教室”という呼び方はやめて、会員の主体的な活動であることをアピールし始めていますが、それでも”サービスを受けている”という意識の会員さんはまだまだいらっしゃると思います。
(それ自体が悪いわけではありません!)
 こういう場合も、実質的には”教室事業”といえるでしょう。

 この教室の現場は、必ず三者で作り上げています。それが、

①スポーツ
②プレイヤー
③指導者

です。

 スポーツ教室というサービスを考えた場合に、この三者はいずれもなくてはならないものです。しかし、『クラブ活動』で考えた場合には、実は『指導者』はいなくても成立します。実際に、指導者がいないサークルや部活動などはたくさんありますよね。

 でも、現実的に指導者を現場に置く”教室スタイル”を総合型地域スポーツクラブは多く採用しているし、少年団などの子どもが主役の地域スポーツクラブなどでもほぼ100%指導者がいる。

「子どもだけでスポーツができるわけがない」

というご意見ももしかしたらあるかもしれませんが、子どもだけでもスポーツはできます。学校の休み時間、児童クラブ、放課後や休日の公園など、子どもだけでスポーツを楽しんでいるシーンはたくさんあるわけですから。

『指導者』の役割

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 では『指導者』の役割とは何かと言うと、

①『プレイヤー』のパフォーマンスを向上させる
② 現場をマネジメントする
③『スポーツ』を最適化させる

だと思っています。どれもものすごく重要で価値がある役割だと思います。順番に説明していきますね。

①『プレイヤー』のパフォーマンスを向上させる
 これは結構シンプルで、指導者のイメージとして一番しっくり来るものだと思います。指導者がいる現場と指導者がいない現場の一番の違いは、「パフォーマンスを上げたい」というニーズの強さだと思います。指導者がいる現場のプレイヤーは、比較的強く「パフォーマンスを上げたい」と思っているはずです。

 ちなみに、一番「パフォーマンスを上げたい」というニーズを持っている人は、『初心者』だと思います。この人たちが最も指導者を必要としていて、ある程度パフォーマンスが向上すると、「もう指導者はいらない」という人も現れてきますよね。

②現場をマネジメントする
 これも分かりやすいですよね。例えば指導者が現場で、「集合!」とか、「次はこれをやろう」とか言ってますよね?これこそ現場のマネジメントです。現場のスポーツ活動が円滑にいくように働きかけています。
 これは、成熟度によっては『プレイヤー』がやる場合もたくさんあるのですが、指導者がやっている場合もかなり多いと思います。特に小学生以下の子どもが対象の場合などは。

 この働きかけによってスポーツ現場にコミュニケーションが生まれたり、「心地いい」と思えたり、「楽しい」と思えたり、「充実している」と思えたりするんですね。ただスポーツにひたすら打ち込み、パフォーマンスだけ向上すればいいかというと、そうではないんですね。
(※現場マネジメントも全てはパフォーマンス向上の為という方針の現場もあるとは思いますし、それはリスペクトします)

③『スポーツ』を最適化する
 これが一見分かりにくい要素かもしれませんが、これは『指導者』の役割として非常に大きいと思っています。簡単に言えば、以下のようなことかなと思います。

その瞬間の『プレイヤー』のパフォーマンスレベルと環境に合わせて、ルールや演出を設計する。

 これは小学校の先生などは当たり前のようにやっていることですが、実は結構難しくて、『プレイヤー』のことも、『スポーツ』のこと、そして施設や用具などの『環境』のことも熟知していないとできないことなんです。

 これは非常に重要な役割です。例えば野球をやりたい子ども達を集めて野球をやるとすると、まず普通は”通常のルール”でやろうとします。そして誰もバットにボールが当たらなかったり、ピッチャーがストラクトを投げられなかったりして、興ざめします(笑)
 子ども達も、やっていく内にルールを変えたりして”最適化”を図ろうとはしますが、早々に挫折してしまう場合もあるんですね。「難しくてできねーよ」とか言って。

 『スポーツ』を最適化する『指導者』の価値はここにあります。その瞬間の『プレイヤー』にとっての最適な形の『スポーツ』を提供するんです。『プレイヤー』がどんなレベルだろうと、そこがどんな環境だろうと、その瞬間の『スポーツ』を最適化できる価値。

(※「おらおらー!こんなこともできねーのかー!スポーツなめんじゃねーぞ!ここまで上がって来い!話はそれからだー!」という指導をされている指導者は、この価値を放棄してしまっているので、ある意味ではとても勿体ないと思います。)

 たかぎスポーツクラブには、小学生が自主的に種目を考えて行う『スポーツ広場』という定期活動があります。そこには”技術指導”はありません。でもコーチはいます。何をしているのかというと、『現場マネジメント』『スポーツの最適化』なんですね。技術指導だけが指導者の価値ではないんです。

三者のバランスが大事

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 要するに何が言いたいかと言うと、「指導者はいなくても成立させることはできるけど、指導者には確実に価値がある」ということですね。

 ただ注意しなければならないことがあります。それが、バランスです。時に『指導者』は、技術指導をし過ぎたり、現場をコントロールし過ぎたりしてしまいます。

 技術指導をし過ぎれば、スポーツが持つ『楽しさ』という要素が削ぎ落される可能性があります。また、現場をコントロールし過ぎれば、『プレイヤー』の裁量がなくなってしまい、”やらされている”と感じてしまうかもしれません。

 『指導者』は時に”権力”を握ってしまう存在です。だからこそ、『指導者』はバランサーでなければならないと思います。『スポーツ』『プレイヤー』『指導者』という三者のバランスをとる役割です。実はこれができるのも、『指導者』しかいないと思います。能力的にも立場的にも。

↓少しいびつな形の三者の関係も・・・

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↓指導者だけがポジションを取り直せば、キレイな正三角形にできるんです。これが3点を結んでできる図形の特長です。一人がバランサーになれればOKなんです。

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 あくまで『指導者』は、『スポーツ』と『プレイヤー』を活かす存在だということも言えるのかなと思います。


 というわけで今回は、『スポーツとプレイヤーと指導者のバランスが大事』というテーマでお話しました。指導者は役割を理解したうえで、バランサーになりたいところですね。
今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!


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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5