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総合型地域スポーツクラブが解消する『心理的アンバランス感情』とは

 総合型地域スポーツクラブ マネジャーの上杉健太(@kenta_u2)です。最近、新型コロナウイルスのせいで利用が減っていたクラブハウスのフィットネスマシンに、少し人が戻ってきたような気がします。昨日は久しぶりに会う会員さんが来て、怪我の為にテニスをお休みしているからと足腰を鍛えにきていました。クラブには、様々なニーズを抱えた、色々な人がやって来ます。というわけで今日は、『総合型地域スポーツクラブが解消するアンバランス感情とは』というテーマでお話したいと思います。要するに『ニーズ』の話だと思ってください。参考図書は、『消費者心理のわかる本 マーケティングの成功原則55』(梅澤伸嘉/同文館出版)です。

心理的アンバランス感情とは

 私たちは常に『アンバランス感情』というものを抱えています。『アンバランス感情』とは何かというと、「不快だな」と思うことです。本当はこうしたいのに、そうなっていないという状態が引き起こす不快感情のことです。
 そして、『アンバランス感情』には、『生理的アンバランス感情』『心理的アンバランス感情』があります。『生理的アンバランス感情』は、『生命保存本能』から引き起こされます。先ほどの、「本当はこうしたい」のところに、「命を残したい」が入る感じですね。「本当は命を残したいのに、お腹が空いて死にそうだ」というように。空腹感は『生理的アンバランス感情』なんですね。それを解消するために我々は、”食べる”わけですね。生きるために。生命を保存する為に。
 一方、『心理的アンバランス感情』は、『幸福追求本能』と『ストレス源としての外的刺激』によって引き起こされます。「認められたい!認められて幸せになりたい!」と思っている(幸福追求本能)のに、会社からの評価はいつもC評価(外的刺激)。これが、不服とか寂しさとか挫折といった『心理的アンバランス感情』を引き起こすというんですね。
 これ、『課題』の設定と同じですよね。本当はこうありたいという理想と、でも現実はこうだよという現状のGAPが課題ですから、凄く似ています。人間には、『生命保存本能』と『幸福追求本能』があるということは、常に「生きたい」「幸せになりたい」という『理想』があるということ。そして、現実はそうは甘くない。その『理想』と『現状』には常にGAPがある。『生理的アンバランス感情』は、空腹感のように、自分の中でGAPが大きくなると生まれるものですが、『心理的アンバランス感情』は外部からの刺激によってGAPが顕在化されて生まれる。そういうものなんですね。

 ここで少しだけ話を脱線させますが、私が最も大切にしている考え方の一つに、『スポーツは遊び』があります。誤解を恐れずに言うと『遊び』とは、『やらなくてもいいもの』です。『余白』と言ってもいい。つまり今回のテーマで言うと、『生きる』という生命の軸とは別の、『余白』の部分にスポーツの領域はあると考えています。つまり、スポーツは「”より幸せに”生きる」為に存在するんです。人が『幸福追求本能』を失ったら、きっとスポーツは消えてなくなるでしょう。生きることだけを考えたら、スポーツはいらないので。衣食住や医療以外のほとんどのサービスがそうですかね。
 なので、総合型地域スポーツクラブが気にするべきは、『幸福追求本能』に由来する『心理的アンバランス感情』の方だと思います。

総合型地域スポーツクラブが解消するのは・・・

 では、そんな『心理的アンバランス感情』を総合型地域スポーツクラブが解消して、『幸福追求本能』を満たすことができるのでしょうか。ここで、「そんなことはできない!」なんていう結論を出すはずがありませんよね(笑) そんなんしたら仕事やめます。人を幸せにし続けることが総合型地域スポーツクラブの最大のミッションなのですから!
 というわけで、『心理的アンバランス感情』にはどのようなものがあり、それを総合型地域スポーツクラブはどのように解消できるのか、順番に考えていきたいと思います。

【欲求不満(フラストレーション)】
これは「イライラしている状態」と捉えると分かりやすいかもしれませんね。総合型地域スポーツクラブはこの「イライラ」を解消します。具体的には、『体を動かして汗をかく』『笑う』『話す』という行動や状態変化によって。ただし、クラブで生じる欲求不満もあることを忘れてはいけませんね。

【未練】
「一度あきらめたけど、あきらめきれない」という状態ですね。例えば、こういう人。学生時代、友達をたくさん作って青春を謳歌したかったけど、なぜかそうならなかった。それを未練として持っていて、人生のどこかで青春をやり直したいと思っている。そういう人は、総合型地域スポーツクラブで青春を取り戻せることができます。そこには多くの仲間がいて、コミュニティが形成され、ある程度一定の同じ目標に向かって動いているからです。さらにスポーツは喜怒哀楽を生み出す装置でもありますから、実に青春っぽいです。(楽しいだけが青春じゃないですよね!)

【ストレス(緊張)】
「ハラハラ」「ドキドキ」「ビクビク」こんな状態ですね。例えば、会社でいつも上司に睨まれているとか、家で姑にいびられているとか、お母さんにいつも怒られているとか。そういう人は、クラブで緊張状態から解放され、ストレスを解消することができます。これはシンプルに、緊張状態から抜け出せるということなので、非日常であれば何でもいいという側面ですね。

【不自由】
「ルールに縛られて身動きがとれない」そのような状態ですね。例えば一部の部活とか。規律が厳しくて、集団行動ばかりが重視され、全然スポーツを楽しめない。そういう人は、もしかしたら総合型地域スポーツクラブでは不自由が解消されるかもしれません。実際にはどこにでもルールは存在するわけですが、総合型地域スポーツクラブの多くは地域住民主体の運営なので、『誰かが決めたルール』に従うわけではなく、『自分たちで決めたルール』に従うので、納得感は得られるかもしれません。(現実的には、『誰かが決めたルール』と思ってしまう面もあろうかと思いますが)

【淋しさ】
孤独な状態ですね。パートナーと別れて一人暮らしである。両親がとても忙しくて一緒にいる時間が短い。転勤・転校してきて友だちがいない。そんな人は総合型地域スポーツクラブに来れば、色々な人と出会い、ともに時間を過ごすことができます。中には同じような境遇の人もいるでしょう。少なくとも、所属と仲間を手に入れることはできるので孤独状態は解消されるはずです。

【挫折感】【自信喪失】【劣等感】
失敗して途方に暮れている、どうせ俺なんて・・・と投げやりになっている。そんな状態ですね。体育で失敗して笑われた。運動会で転んでビリになった。あんなに頑張ったのに勝てなかった。そんな人は、総合型地域スポーツクラブではまた違った視点を得られるかもしれません。体育や運動会で勝つことはスポーツのほんの一部でしかなく、むしろその他の価値の方が圧倒的に大きいことを知ることができるかもしれません。また、再度同じ目標(大会で優勝するとか)にチャレンジすることだってできるかもしれません。総合型地域スポーツクラブには、色々な志向を認める土壌があります。

【悩み・苦悩】
「モヤモヤ」これが一番合っているかもしれません。太っている、走るのが遅い、腰が痛い、姿勢が悪い、好きな人に告白できない。これらの状態を総合型地域スポーツクラブが直接的に解消することはできないのかもしれません。でも、多様性を認める総合型地域スポーツクラブでは、太っている状態や走るのが遅いという状態を認めることができます。「そのままでもいいんだよ」というメッセージを、きっとクラブは贈ってくれるでしょう。”そのうえで”、理想の自分を目指せます。それが総合型地域スポーツクラブ。

【不安・心配】
先の失敗や不都合を想像して悩む状態ですね。来月の運動会で恥かいたらどうしよう。試合に負けたらどうしよう。そんな人は、総合型地域スポーツクラブで直接的なトレーニングをして不安を解消することもできるかもしれないし、あるいは別の活動をすることで一時的に不安から目をそらして心を整えることができるかもしれません。それから日常へ戻り、不安と向き合える状態にする。

【たいくつ】
やることがない状態ですよね。たぶん総合型地域スポーツクラブを使い倒せば、退屈することはないです(笑)

ポイントは日常感と非日常感

 実に色々な『心理的アンバランス感情』がありましたね。その解消方法も色々だとは思うのですが、型はあるのかなと思います。

①日常生活において『心理的アンバランス感情』が生まれる
②”非日常”としての総合型地域スポーツクラブでそれを解消する
③総合型地域スポーツクラブが”日常化”する
④そして新たな『心理的アンバランス感情』が生まれる

 そう、総合型地域スポーツクラブが解消する『心理的アンバランス感情』があれば、総合型地域スポーツクラブが生み出してしまう『心理的アンバランス感情』もありますよね。当然の話です。
 ①→②は新規入会の話。③は定着の話。④が継続(退会阻止)の話としてクラブマネジャーは分けて考え、仕事をしなければいけませんね。いずれにせよ、入会を考えている人や活動している人は皆、『心理的アンバランス感情』を解消して、幸せになろうとしているということだけは間違いがありません。
『心理的アンバランス感情』、解消し続けて見せましょうよ!


 というわけで今回は、『総合型地域スポーツクラブが解消する『心理的アンバランス感情とは』というテーマでお話させていただきました。
お読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5