僕は寝た。君にもう一度、会うために。
今でも想う元恋人に夢の中で会えた。しかし、何も起こらないまま目覚めてしまった僕には2つの選択肢がある。そのまま起きて夢を忘れることを選ぶか、無理かもしれないがもう一度夢で会うために二度寝をするのか。
寝ぼけて朦朧としている意識の中で僕は、、、寝た。
僕は家の前でいつも乗っている車を洗車していた。
僕は二年半以上も恋人がいない。でも恋はしたい。
その想いで、近々約束している女の子とのデートに備えての洗車だ。
デートに向けてどんな準備をしようかと考えていると、目の前から何だか見覚えのある人影が近づいてた。
そこには二年以上連絡を取っていない、元恋人が立っていた。
僕は洗車をしていた手を止めた。いや、止めざるを得なかったのかもしれない。今年で一番の予想外の出来事だった。
彼女はさっきいた場所より僕に近づいてきた。僕は変わらず何が起こっているのか分からないという顔をしていただろう。
そんな僕に向けて、真っ直ぐな目で
「もう一度、やり直したい」
そう言った。
それに対する僕の答えは、もちろん一つしかなかった。
二年半も彼女が頭から離れずに過ごしてきた僕にとって、願ってもないことが起きてしまっているのだから。
こうして、僕は久しぶりに彼女と二人きりで過ごすことが出来た。
二年半ぶりに僕の部屋で二人きりになり、他愛もない話をした。
手を繋ぐのも、ハグをするのも、キスをするのも。
二年半も経つと、彼女とのすべてが初めてのことのようで。
気付けば僕らはそのまま寝てしまっていたようだ。
朝になり、彼女とはまた会う約束をした。
彼女は帰った。
と同時に、僕は夢から覚めた。
ただ、苦しくなった。
僕の選択は正解だったのだろうか。