「小さな絶望の積み重ね」と「私が大好きだ!」と「本気の出し方」
松本山雅がJ3降格、クリアソン新宿がJFL昇格、マンチェスターシティが首位独走という3割の絶望と7割の幸福を味わっているオフシーズンです。
クリアソン新宿がJFL昇格を祝して、同クラブのキャプテンだった井筒陸也さんがYouTubeで優勝記念配信をしていました。その中で試合前のスピーチで井筒さんが呪術廻戦の台詞を用いてチームメイトを感動させたと話していました。
自称 井筒マニアの私は彼の言う作品であれば間違いないだろうとAmazonプライムで呪術廻戦を見ることにしました。
お正月の三が日でアニメ化されている全24話を視聴。
今まで好きになった音楽、漫画、小説が世の中のメインストリームから外れたものばかりだったので流行りに乗るのは少々抵抗がありました。
呪術廻戦を見て、当たり前ですが世の中の多くの人が「良い!」と言っている作品は良いのだと改めて思いました。
今回は全24話の中で印象に残ったシーン3つを紹介します。
「小さな絶望の積み重ね」
アニメ版13話 漫画版3巻で七海建人が少しでも早く成長し大人になろうとする主人公 虎杖に残した言葉です。
有名な大学に受かったり、大企業に就職し、仕事で大きな成果を出すことを経験することが「大人になること」と世間の多くの人は定義していると思います。
それらはあくまで結果であって、結果の良し悪しが人を大人にしている訳では無い。
自分の力ではどうにもならない絶望を経ることで自分に無いものを自覚して大人になってゆく。
逆説的に子供であるからこそ自らを過信し、挑み、夢見ることを忘れてはいけないと言葉の裏に潜んでいるのではと思いました。
そう思うと日常的に訪れる漫画の初版が買えなかった、好きな雑誌が絶版になってしまったなどの絶望は僕らを大人にしてくれているのかもしれない。
サッカーなんて特に小さな絶望の積み重ねで小さな1失点、1敗こそに人を大人にさせる要素が詰まっているのだと思いました。
「私が大好きだ!」
アニメ版17話 漫画版5巻で釘崎野薔薇が西宮との戦闘中に残した言葉です。
呪術高専東京・京都高交流会で西宮との対戦中、釘崎は因縁のある京都校2年の禪院真依(ぜんいんまい)(禪院真希の双子の姉)のことをバカにします。それに怒った西宮は、釘崎に対して、禪院真依の家柄や環境による理不尽や苦労を説教するように伝えます。
更に釘崎はこのように返します。
SNSが普及し、仕事でもプライベートでも誰かの期待に答え続けるような人生になってしまいがちです。人生そのものが「仕事化」してしまっている現実世界で「テメェの人生は仕事かよ」という言葉は深く突き刺さります。
性別、環境、利害関係、コスパが悪いとか言われても自分の理想を曲げずに追い求めることの大切さを改めて胸に刻み、苦難すら受け入れ突破していく釘崎野薔薇の人間としての強さを感じるシーンでした。
釘崎のような人間は冷笑されがちな世の中だけど、自分が好きになったものくらい思うがままに追及していいんだと思えました。
本気の出し方、知ってる?
アニメ版23話 漫画版7巻で五条悟が伏黒恵と稽古している最中に残した言葉です。
伏黒は頭脳派で冷静さが特徴の人物です。自分や周囲の現状の能力を計算し、間違いのない教科書的な戦い方ができます。
しかし、伏黒の考え方は少しの可能性を除外していることにもなります。
ここをクリアソン新宿 元キャプテン 井筒さんは引用したそうです。
例えば僕らの生活で「これくらいやれば合格できる」「これくらい点決めておけばスタメンだろう」と何となくラインを設け、ラインを越えた=本気、結果が出なかったら最悪辞めてしまえばいいと考えがちです。その考え方が五条先生はダメだと言っています。
五条先生は、ちょっと無理かもしれない未来に手を伸ばす欲が必要。
理想をイメージすることは自由であり、限界を超えた自分を創造していくことが「本気」なのだと。
以上、呪術廻戦の名シーンを紹介しました。
グロ描写ありで苦手な方もいるかと思いますが、グロを上回る心理描写があるのでアマプラやネットフリックスで是非ご覧ください。