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〈江戸の本屋さん〉展を覗く

かなり寒いけどお天気はいいので、思い立って國學院大学博物館まで1時間ほどの道程を歩いた。企画展〈江戸の本屋さん-板元と庶民文学の隆盛〉を観るためだが、学生のころ友人宅をよく訪ねた神宮前五丁目辺りを久々ぶりに通り抜けると、ファッションブランドなどのきらびやかな店舗が軒を連ねた街に変貌していて驚嘆した。

世上洒落見絵図
客衆肝照子

企画展には、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の蔦重こと蔦屋重三郎の刊行した山東京伝の黄表紙『世上洒落見絵図』や、洒落本『客衆肝照子』なども展示されていた。蔦重の耕書堂は草子類、浄瑠璃本、絵本、錦絵など娯楽書一般を扱う地本問屋であり、葛飾北斎画「絵草紙店」は耕書堂を描いている。仏書、儒書、医書、古典などお堅い〈物之本〉を扱うのは書物問屋であり、江戸時代は本屋仲間としても二つは別々であるとは知らなかった。

南総里見八犬伝
東海道中膝栗毛
続膝栗毛

出版物が作られるとき、おおむね板元から作者に執筆依頼をするのは今も変わらないこと。その様子を描いた十返舎一九の『的中地本問屋』が展示されていた。また、曲亭馬琴の『南総里見八犬伝』、十返舎一九の『東海道中膝栗毛』『続膝栗毛』などを実見し、おまけに幕末明治の豆本コレクションを楽しみ、しばし来し方を懐かしく振り返った。

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