茂吉の詠んだ蔵王山
3年余ぶりの再訪である。深い霧に怖れをなして、熊野岳から引き返し、見ることの出来なかったお釜(五色沼)まで足をのばすつもりが、またまた今度も小雨まじりの雲のなかである。そういえば、熊野岳に立つ斎藤茂吉の歌碑は風雪に削られて読み難いが、拓本を見るとこう刻まれている。
陸奥をふたわけざまに
聳えたまふ蔵王の山
の雲の中に立つ
蔵王はいつも雲の中なのだろうか。天気予報は見事にハズレである。ロープウェイの地蔵山頂駅前にも、茂吉の歌碑がある。
雪消えしのちに蔵王の太陽が
はぐくみたりし駒草のはな
冬の近い今では駒草もみえない。勇を鼓してと言えば大袈裟だが、地蔵山を越えて熊野岳に向かっていると、ウサ小屋跡あたりだろうか、突然、風雨が強くなり、ここで断念することにした。来年、駒草の季節に再々訪したい。帰途、バスターミナル前にも茂吉の歌碑があった。
朝ぐものあかあかとしてたなびける
蔵王の山は見とも飽かめや
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