越境活動による国家公務員のキャリアづくりを考えるイベントを開催しました
先月末になりますが、私が代表を務める一般社団法人トライセクター主催で、「官僚が行う副業・兼業などの越境活動」を支援し、地方公共団体や一般社団法人をはじめとした、公益を目的とする幅広い非営利団体と官僚との間のマッチング・伴走支援を行うためのイベント「国家公務員よ、越境しよう。-令和元年、キャリアづくり新時代-」を開催しました。
本活動は、国家公務員の兼業・副業をより促すこと自体を目的にするというよりは、兼業・副業などの越境活動を一つのツールとして、国家公務員自身が、自らのキャリアを自ら設計できるようにする、といったキャリアメンタリングを目的として行っているものです。
すなわち、働き方改革、人生100年時代、キャリアの自律などが政府から発信される一方、当の官僚自身は、キャリアの自己決定が難しく、ジョブローテーションによる短期間の異動により、実践的な学びの場が不足している中、高い志を持った官僚が公益的活動のため、主体的に選択した分野において兼業を行うことが、国家公務員自身のキャリアにとっても、社会全体にとっても望ましいのではないか、と考え活動しています。
当日は、石山恒貴 法政大学大学院政策創造研究科教授より、「越境活動の意義」と題した基調講演を頂きました。まだまだ私企業においても兼業副業のハードルが高い中、いかにそのハードルを超えていくかについてお話いただきました。
メインのパネルディスカッションでは、当団体副理事長の古屋星斗(元経産省)がモデレーターを行い、「越境的学習」研究の第一人者である石山教授、副業・兼業・働き方改革に関する内閣人事局の辻企画官、本業の傍ら、食や農林水産業をテーマにした早朝勉強会「霞ヶ関ばたけ」の代表を務め新しい働き方を自ら実践する現役国家公務員の松尾真奈さん、代表の私が登壇し、国家公務員のキャリアづくりのあり方について、パネルディスカッション形式で掘り下げ、活発な議論が展開されました。
議論の内容自体も、国家公務員個人としてのキャリアをいかに形成していくかという、国家公務員の視点に寄り添いながらも、そうした新しい時代のキャリアのあり方をいかに政策的に裏付けていくかも含め、ミクロ・マクロ両方の視点が織り交ぜられた充実したディスカッションとなりました。
まずは、国家公務員の方々で、自ら越境をしていきたいと考える方々と繋がり、そうした方々の背中を押すのが我々の団体の使命と考え活動をしております。
最近も、厚労省の提言書が話題で、兼業・副業どころではない、といった話もあろうかとは思いますし、国家公務員の職務専念義務との関係でどうなのか、といった声もあろうかと思いますが、こうした点についても深掘り・議論しながら、現代社会における役人(およびキャリアづくり)のあり方を引き続き考え、提言すること自体に意味があると思いますので、ご関心ある方々と連携できればと思います。