根性があるな!
30代で大手会社の秘書室を辞めて独立したD講師は伸び悩んでいました。
新入社員研修や中堅社員研修のトレーニングを受けていたのですが、なかなかチャンスがこない。そんな時、私が彼女に声をかけたのがある公益法人の2日間の中堅職員研修。
「いいんですか、私はマスタートレーナーからは正式なOKはもらってないんですよ」
「だいじょうぶですよ、実戦こそ最大のトレーニングなんだから」といけないことを囁く私。
それから3週間、テキストの準備とリハを重ねて研修当日を迎えました。
しかし、現場ではやはりたいへんでありました。。
彼女のインストラクションはgoodです。しかし、時間管理ができない。
「このワークはこのくらいの時間でできるだろう」と標準レッスンプランを想定しますが、なかなかどうして、受講者はそんなにテキパキやってくれない。初日は当初の予定より、なんと90分押しで初日終了。90分ってかなり厳しい時間ですよね。
研修会場を出で駅前の喫茶店でプログラム修正の打合せを始めたのが18時です。2人で必死に議論しながら、大幅にスケジュールを変えていきます。
そうすると前後のブリッジや新しいシートの設計を考えなおさなければなりません。ようやく決定稿ができたのが21時。
そこからD講師の自宅までは電車で1.5時間かかります。
そして明日の朝も8:30には会場入りしなければなりません。
『シートを作る時間があったかな?』と心配しながら翌朝会場に行くと、D講師はしっかりとしたシートを作っていました。
ほとんど眠る時間はなかったのではないでしょうか。
『やるな、根性あるな』と私は大いに感心しました。
この努力の甲斐があり、研修は熱く盛り上がって終了。
受講者からは自然に拍手がD講師に対して起こったのです。
彼女は涙ぐんでいました。そう、講師の苦労は受講者からの温かい拍手で報われるのです。
その後は慰労会です。駅前のファミレスで乾杯したビールを彼女が美味しそうに飲みほしたことを覚えています。
私もサポートでヘロヘロでしたので、ビールは美味しかったです。
結局、この研修がターニングポイントになりました。
自信をつけた彼女はその後、企画力研修やプレゼンテーション研修など新しい分野に積極的に取り組み、そしてクライアントからも高い評価を得るようになりました。
「このくらいでいいや」と手を抜かないこと。
目の前の研修に全力を尽くす。
この姿勢を持って取り組めば、きっと受講者もクライアントも営業担当者は評価してくれます。
そしてさまざまな研修依頼が飛び見込んでくるようになります。
がんばりましょう!