フランスの人類学者が語った「日本人らしさ」について知る
どうも!
藝術的で個性的な人生を生きたい人のガイド役、松浦玄侍です!
前回の記事で「日本人らしさを掘る理由」について書いたんですが、今回はその中身の話に入っていきます!
前回の記事はこちら⇩
さて、これを読んでくれている人は、ほとんどが日本人だと思いますが、「日本人の日本人らしさ」について考えるときにはやはり、「日本人的ではないものがなんなのか?」という要素も多分に関わってきます。というかめちゃ重要です。
マーケティングの文脈でもよく言われますが、物事の違いや強みを明確にするためには、比較対象が必要になりますからね。
であれば、「外国人から見える日本人の特異性」というところから話してみると良いんじゃないか、と思うんですね。ではいきましょう。
20世紀の思想界の巨人 レヴィ・ストロース
フランスの文化人類学者にレヴィ・ストロースという人物がいます。彼は20世紀最大の文化人類学者と言われています。もう亡くなっていますが、70年代に起こった構造主義ブームの火付け役と言われています。
彼の有名な言葉に「人間をおびやかすわざわいは、自らの根源を忘れてしまうことだ。」というものがあります。今話しているテーマにピッタリですよね。
彼が火をつけた構造主義という哲学は、「我々が生きている社会には背後に何かしら影響を与える構造の様なものがあって、その力によって人間は影響を受けて行動や選択の決定をしている」という理論です。
レヴィ・ストロースは、1935年ごろにブラジルにわたり、サンパウロ大学で教授をしていました。南米大陸にてフィールドワーク研究を行い、土着民族の特異性や文化、そこから形成されているであろう構造について、検証を繰り返しました。パラグアイとの国境地帯に居住していたカデュヴェオ族や、ブラジル内陸のマトグロッソ地方に居住していたボロロ族、ナムビクワラ族やトゥピ=カワイブ族など、アマゾン川の支流に暮らすいくつかの民族を調査・接触していたらしいです。
日本には比類がない、同じような民族がいない
研究の途中で、彼は日本への渡航・研究も行います。通算5回の日本滞在で彼が残した言葉が印象的なので、そこについて記述していきます。
様々な国をわたり、いろいろなシチュエーションで民族の構造を調査してきた彼ですが、日本を研究することで、この様な言葉を残しています。
「日本人は極めて特殊な民族だ。悔しいが、日本には比類がない(他と比べるものがない)。」
興味深い言葉ですよね。いわゆる「日本人らしさ」というものが、この言葉の中に隠れていそうです。
彼が日本の探訪について記した著書のタイトルは「月の裏側」。「外国から見ている時には決して見えなかった日本の真の姿を見た。」という意味でこのタイトルがつけられたそうです。
レヴィ・ストロースが著した「月の裏側」の中で、彼は、"歴史、神話の構造、文学、芸能、大工、陶芸、食の職人技"に至る日本文化をつぶさに観察し、解説・批評をしました。そしてその造詣の深さ、関心の深さ、視点の鋭さに圧倒された人が溢れたのですね。
彼はフランス生まれなのですが、父親がとても日本が好きな人物であったらしく、日本の浮世絵や版画を好んだといいます。レヴィ・ストロース自身が学校でいい成績を取った時に、褒美に版画を一枚もらって大喜びしたというエピソードも有名です。
レヴィ=ストロースは来日時、博物館や社寺仏閣の見学よりも、町や村の染師、絵師、陶芸師、鍛治師、魚師、板前、邦楽奏者などへのインタビューに時間を費やしたといいます。そして、日本人の職人の一途に仕事に打ち込む姿に深く感動して、「このような文化を創り出したのはどのような人々か。」というところに関心が向かうようになったといいます。
日本人の人間性と文化の特異性
レヴィ・ストロースは「日本人の人間性」について、このような言葉を残しています。
「日本は自然の富は乏しいが、反対に人間性においては非常に豊かである」
下記の部分に私なんかは特に、日本人の日本人らしさ、というものが現れているように感じるんですよね。
社会全体が求めている役割を役割を充たそうとしている…んだけれども、疲弊している感じはなくて、くつろいだ感じである、と。
ここに日本人の精神性だったり、文化的な核心があるように思います。
無理をしない、それでいて充実感が得られる働きをしている…、自分より大きなものと一体化して自然体で生きている、と言ったら良いのかな。
さらには、木を切る時の、西洋の"押す文化"と日本の"引く文化"の違いについても、次のように語っています。
これは西洋人が自分を起点にものを考えて外界に影響を及ぼうとする(押して切る)精神性と、日本人が外からのものを受け入れて(引いて切る)、結果的に独自の個性を作る精神性に表れているとも言われます。
デカルトの「我思う故に我あり」という言葉が有名ですが、まさにこれが西洋人的な精神性の表現であり、日本人はこの「我(エゴ」という感覚を本質的に理解することはないだろうと言われています。
日本人は、最も遠くのものから自分に至るまでの影響を受け入れて、その様々な要素の集積が自分(個性)である。という精神性から成り立っているので「我思う故に我あり」の「我」の概念を元々持たない民族なんですよね。
ここは解説すると長くなるので、一旦端折って次に行きます。
日本語の「学ぶ」は「真似る」という言葉が原点にあります。職人は師匠の技を見て真似し、考え、工夫し、年数をかけて本物の技に近づく訓練・修行を重ねます。この文化と精神があるからこそ、日本は脅威的な速さで西洋の技術や思想を習得できた部分がありそうです。
守破離という言葉がありますが、日本的な精神と民族特性を見事に表していると思いますね。守(基本に忠実に真似る)、破(応用する)離(工夫を凝らし独自性を生み出す)の流れがそのまま日本民族が体現してきた文明づくりなのです。
日本は、外国文化を積極的に取り入れ、日本流に同化させて、新たなものを生み出してきました。最も強い影響を受けた中国の漢字からは、カタカナ・ひらがなを作りましたが、中国語そのものは話しません。英語は和製英語に派生して、一般的に広く使われています。低学年から英語を学んでも、流暢な英語を話さない。「文化を守ることはその国の言葉を厳正に守ること」という理念が、無意識領域に浸透しているんですね。
この無意識領域に深く根付いている精神性、文明特性の根源が縄文文明だということなのでしょう。
まぁ、英語の習得に関してはGHQが日本人の語学力を恐れて、あまり話せないような英語の学習法に意図的に作ったみたいな話もありますから、もうちょっと使いこなせる感じの方が良いと思ったりもしますけどね笑
でも確かに、日本人全員がペラペラ英語で話し始めたらそれはそれで大事な文化を乗っ取られてる感じになっちゃうので、コアとサブの使い分けというか、それをわかってやっているっていうバランスは大事だと思いますね。
古代からのつながりを現代にとどめる国・日本
他にもレヴィ・ストロースは、このような言葉も残しています。
この言葉の中には、日本人が日本人たる理由とその凄まじさ、唯一無二性についてが内包されています。
これは物凄いことだということをあなたには心底知っていただきたい。そして私も何度も肝に銘じたいところであります。永年の過去より紡がれし、先人の知恵と霊的な意思が、今なお日本人の精神性の中には宿っている。そのような国は、他には存在しないのです。レヴィ・ストロースもそれを持って「比類がない」と表現しているのだと思います。
"地球での高度文明の発達は過去に何度も繰り返されていて、滅びている"という伝承などもあります。(それについてはまた別の記事でくわしく書きます。)「日本人はその前回滅びた文明の記憶を宿していて、地球における文明の調和を達成させる役割を担っている」などという話も聞きます。環境問題や人種差別問題、戦争や貧困の問題など実際に地球で起こっていることを見るにつけ、「伝承で言われていることは、実際に馬鹿にできないな。」と思うことばかりなんですよね。
なぜ日本人だけが比類のない民族性を持ち、永久の連続性と連帯感を保持しているのか?(レヴィ・ストロースもそう判断した。)そこには、何らかの役割や意図のバトンが渡されていると思うのが自然な情報処理の流れだと思うのです。
まとめ
さて、今回は日本人らしさや日本人の特異性について、外国人の文化人類学者レヴィ・ストロースが記した内容について解説してみました。
「日本人は他に比較できる民族がいない」その事実を我々日本人は真摯に受け止めて、その素晴らしさと、自分たちが与えられている役割について改めて考えてみるべきではないでしょうか?私はそう思います。
日本人の役割については、世界史や神話伝承なども織り込んで推測をしていくといろいろなことが見えてくるので、またそのことについても記事で書いていきますね。
本当の日本人らしさ、自由な精神性、くつろいだ性格というものをもっと世界にインスパイアしていきたい。そんな方は仲間になってください。
ではまた書きますね。ここまで読んでくれてありがとうございました!
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