共同親権に対する男の密やかな本音と男が結婚すると保守化する現象について
SNS上に共同親権に対する女性の怒りと嘆きの投稿が相次いでいます。
まず、私の立場は明確に反対です。やべえ法改正としか言いようがない。女性はより結婚、出産に慎重になるだろうし、「結婚減少・少子化促進法案」と呼べばいいと思っています。
そういう個人の思いとは別として、男として今回の法改正の内容を見れば、「こんなに既婚男性を優遇してくれるんですか?自民党さん、あざーす」というのが身も蓋もない本音です(私は結婚してないけど、結婚したらめちゃくちゃ夫に有利だなという意味)。
この法案、女性はだいたい憤ってると思いますが、この話題を向けられるとなんとなく黙り込んでしまうか、歯切れの悪くなる男性もいます。そりゃ、自分に得な内容なんだから、内心ラッキーと思っている人がいてもおかしくない。
離婚なんて自分の人生には関係ないだろうけど、「もしその立場になったら?」と考えたら、保険としては大きい。子供に会えなくなるなんて恐怖ですからね。
とある女性は夫に共同親権に対する憤りを伝えたところ、「政治を変えたいなら、政党を作って立候補すればいい」と言われたそうです。
この返し、おじさんはよく使うけど、最低だと思います。そういうシニカルな態度こそが日本の政治を悪化させていることが分かっていない。というか政治に関わる回路が「投票するか、立候補するか」の2択しかないというのは間違いでしょう。「そんな男捨てて離婚しちまえ」と思ったけど、流石に口には出さなかった(やっぱ離婚しちまえ!)。
ここから、なぜ男は結婚すると保守化するのかという話。
保守化=おっさん化でいいと思いますが、家庭を持って、社会に揉まれていくうちに男がどんどん保守化していくのは割と一般的な傾向です。
そりゃそうだ。今ある体制に適応して成功を目指しているのだから、前提となる体制事態を変えようという意思はどんどん薄れていくのは仕方ないことかもしれない。
(でも、そうやって保守化していく夫がどんどんつまらなくなっていって、「なんでこんな男と結婚しちゃったんだろう」と嘆く妻たちを私はたくさん見てきた)。
話題の朝ドラ「虎に翼」では、明治時代に定められた民法で「女性は無能力者」であり、「妻は夫の所有物である」という規定に反発する主人公たちの姿が描かれていますが、「妻と子供は夫の所有物」という感覚は法律の文面からは消えたとしても、男の精神上には根強く残っていると思います。
「俺が家族を守る」「俺が家族を食わせなきゃ」という熱い使命感に男たちは燃えているのです。
男は結婚すると「戦国武将モード」になります。自分は一国一城の主であり、守るべき「家(族)」のために敵と戦う。
基本的に男は女性の前でいい格好がしたいので、女性の前ではオラオラ感を出したがります。付き合い始めたら、急にサングラスかけだしたりね。
「アラサー・アラフォーカップル、男だけサングラス」よく見かけませんか?
もちろんおしゃれサングラスの人もいますが、目の色素の薄い欧米人は「眩しいから」「目を守るために」サングラス文化が一般的なのに対して、黒黒とした目を持つ我々モンゴロイドにとって、サングラスは「おしゃれ」か「威嚇」かのどちらかです。
特に日本においてはサングラスをかけているだけで、ちょっとワルな印象を与えます。
色付きメガネのおじさんを見かけると、ちょっと緊張感が走りますよね。ええ、歌舞伎町とかでよく見かける人たちです。
ここで、私の父親の話をしましょう。
私の父親はかなり封建的なタイプで、よく「これは家族のためなんや」とか「わしがお前らを守ってやるから黙ってついてこい」とか言っていました。
で、それを子供の私がどう見ていたかというと、「ものすごく嫌!」でした。
ちなみに父親の愛読書は時代小説です。
そして、常々「長いものに巻かれることこそが大人になること」だと説いていました。
そんな父も定年を迎えたのですが、突然サングラスをほしがりました。「なんで?」と聞くと、「若い奴らに舐められないため」だそうです。
女性のみなさん、男なんてこんなもんなんですよ。
「舐められたくない」。これ、男を理解するキーワードです。
男が時々不可解な言動をするときは、大体これが理由です。
「舐められたくない」は道徳とか法律より優先される場合があります。
電車の中で突然怒鳴ったりとかね。東京にいると怒鳴るおじさんをよく見かけますが、怒鳴る女性は見たことがありません。
ヤンキーマンガや映画がなぜこんなに人気なのかもこれが理由です。昔は時代小説、今はヤンキーマンガです。
ヤンキーって、ファミリーにはものすごく優しいけど、「それ以外」にはものすごく暴力的です。はい、家族にもこの図式は当てはめることができます。
問題はここに「妻と子供は俺の所有物だから大切にする」という意識が無自覚にあることです。
だから、「所有物」が意思を持ったり、自分から逃げていくことは男にとって恐怖なんです。
「俺を捨てて、お前だけが幸せになるなんて絶対に許さないからな!」
これはドラマ「虎に翼」に登場したDV夫のセリフです。
これ、男は振られた時に、濃淡はあれチラッとよぎる感情です。
今回の共同親権に対する法改正には、上記のような男の暗い叫びが込められています。
共同親権の話は男に対するリトマス試験紙として使えます。その結果を受けてどうするかは自己責任ですが。
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