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狂言『因幡堂』女がやってきてござる

和ろうてござるか~

本舞台に出るなり、里帰り中の妻に離縁状を送ったと申す男
そのような勝手が通る時代だったのでござろうが
そのまま因幡堂の観世音菩薩へ新しい妻を祈願に向かうと申す

この男の申し様には自身のことはなにも語られておりませぬ
語ったところで狂言がおもしろうなるとは思えませぬが

このブログでは狂言好きのわたくしけんすけ福のかみが
もっとも狂言らしい登場人物“太郎冠者”となって
狂言へとご案内するべく描いてござる
なにとぞ和らいだお心もちにて読うでくださりませ〜

祈願には御堂で通夜をいたしまする

妻乞いには御堂に籠り”通夜”をするが常でござる
通夜は御堂に座り(按坐)、右手に扇を頭を支えるように持ち
その扇に傾いで目を瞑る(寝る)のでござる

妻乞いモノにはたいていこの通夜がござる
ちょっと変わった方法で妻を探す狂言もござるが(『釣針』)
このほかお願いごとは通夜をするとよく叶うようでござる

わわしいと云う女の登場

暇の状を受け取った女が大慌てで舞台に駆け込みまする
親里へ戻った隙に暇の状を送り付けただけでなく
新しい妻を乞うて因幡堂へ行ったこともバレているようでござる

因幡堂へ向かう道すがら
「あのような男は藪を蹴ても、五人や七人な蹴出しましょう
 去られたと思えば、身が燃ゆるように腹が立つ!」などと申しまする
つまらぬ男とくさすために遣われる定型の文句ではござるが
女性の愛情が顕れた言葉と存じまする

通夜をしている男の元へ着くと
女は通夜をしている男の元へ、余念もなく通夜をしている!とご立腹

女の情念は燃え上がり、復讐へ

おのれ、、、食い裂いてのきょうか!引き裂いてのきょうか!!
なんとも物騒な言葉を吐きながら通夜をする男を睨みつけつつ
思案をいたしまする
「イヤ、いたしようがござる

なにやら不敵な笑みを浮かべ、男に近づく女
男、危うし!!でござる

こんにったこの辺りにいたしましょう
またお目に掛かれましたら嬉しゅうござる🤗


この狂言noteはけんすけ福のかみが
大蔵流茂山千五郎家 島田洋海社中にて
狂言を学んだことをモトに
実際に狂言を(できれば生で)観て
和らいでもらいたいと願うて描いてござる🖋

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