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斗-イ】狂言は名乗りから始まってござる

和ろうてござるか〜
今日は雑貨屋さん二軒と文具店三軒を梯子してござる
お店の方と話が弾むほどに財布の紐は緩みがちになりまする( ´∀`)

このブログでは狂言好きのわたくしけんすけ福のかみが、もっとも狂言らしい登場人物“太郎冠者”の名を借りて皆さまを狂言の世界へご案内するつもりで描いてござる。なにとぞ和らいだお心もちにて読うでくださりませ〜

その人が如何なるモノか、害意のないモノであると知れば
安心して話が聴けるようになることと存ずる

狂言では“名乗り”と申して
まず最初に自己紹介と簡単な説明をしてござる

狂言の登場人物の多くは、
控えてござる部屋(鏡の間)より五色の幕をくぐり①
②橋掛かりと申す通路を通って③本舞台へ入り
④向かって左の端奥の方で立ち止まって‘名乗り’をいたしまする

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まずは、これが定型ではござる
定型にはまらぬモノもままござるが…

狂言は大体のことを
役者がことばで説明するというのが
大きな特徴としてござる

この最初の名乗りは差し詰め【ナレーション】というところでござろうか

「これはこの辺りに住まいいたすモノでござる」

と、申せば、ともかくも
この辺に住んでる人なんですね〜とわかりまする

「それがし、太郎冠者を一人召し使うてござるが
この間うち、わたくしに暇をもこわず、いずかたへやら、おりそうてござる
承れば、ようよう夜前、まかり戻ったとは申せども、いまだそれがしが前へ
目見えもいたさぬ、言語道断!憎いやつでござるによってこれからあれへまいり
きっと折檻を加ようと存ずる」

これは無奉公物と申す、太郎冠者の無断欠勤を叱りに行く主人の名乗りでござる
なんとなく不穏な空気が漂う名乗りでござる

「今晩にわかにお客がござるによって、まず太郎冠者を呼びいだし
和泉の堺へ酒、🍶肴物を買いに遣わそうと存ずる」

こちらはずいぶん和やかなる名乗りでござる

少し定型から外れて⑤正中少し前(客寄り)で名乗りをする【大名】や
[次第]と申す短い謡を歌いながら出て来る【山伏】【薬師(医者)】などもござる

♪薬種も持たぬ藪薬師、薬種も持たぬ藪薬師
黄檗(きわだ)や頼みなるらん♪

これは狂言『神鳴』の薬師の出に謡う次第でござる
旅の最中、なんとなく不安な様子が感じられまする

これら名乗りは
そのことばそのものもさることながら
人物の様子を観て物語の像をつかむ大切なものと思うてござる


さて本日はこの辺りで
またのお越しを待ってござる

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