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斗-ニ】狂言では本舞台で終わる場合がござる

和ろうてござるか〜

日々の生活の中に緞帳が欲しいと思うことはござらぬか
早とちり、言い間違い、ウケるつもりがダダ滑り…

ご存知かと思われまするが
緞帳とは舞台と客席の間に降りる幕のことでござる
構造的に能舞台にはないモノでござる

緞帳がない故に、狂言が終わるには舞台上の演者が居なくなるのが分かり易うござる
それが
一方がもう一方を追いかけながら幕に入る“追い込み留め”が多ござる

このブログでは狂言好きのわたくしけんすけ福のかみが、もっとも狂言らしい登場人物“太郎冠者”の名を借りて皆さまを狂言の世界へご案内するつもりで描いてござる。なにとぞ和らいだお心もちにて読うでくださりませ〜

さてもうひとつの終わり方
演者が居るまま終わるがござる

例えば

主  人:あのなんでもないヤツ、しさりおろう
太郎冠者:はーあ {両手突き平伏}
主  人:えーい {扇で指す}
太郎冠者:はーあ {さらに平伏}
主  人:{扇下ろし、橋掛かり通って幕入り}
太郎冠者:{立ち小さく回って主人の後付いて幕入り}

これはよくある“叱り留め”のシーンでござる
主人が扇を下げた辺りで見えない幕が降りたようなモノでござる
‘ここで芝居終わりましたよ’という合図が留めという演出なのだと思うてござる

いっそうそれが顕著なのが“笑い留め”でござる

大  名:めでとうドッと笑うて戻ろう
太郎冠者:それが好うござりましょう
…(正先へ出て)
大  名:さあ笑え
大名、太郎冠者共に、はーーはーーはぁはぁはぁはぁは{大笑い}
両者下がって真顔に、大名、太郎冠者と続いて橋掛かり通って幕入り

二人して大笑いしたかと思えば
急に真顔に戻る、ここが終幕、緞帳降りる合図でござる

見慣れぬ方には
舞台に演者がまだ居るのに
これで終わったのか?続いてるのか?と不思議な演出ではないかと思いまする

これも舞台で見せるのはここまで
この後どうなるかは観ている方の想像次第であろうと思うてござる

舞台真ん中でクシャミして終わる【くさめ留め】
謡に合わせて舞って終う【舞留め】
他に【謡留め】【しゃぎり留め】【ガッシ留め】…などとござるが
なかなかお目に掛からぬものではないかと思いまする


こんにったこの辺りにいたしましょう
またお目に掛かれましたら嬉しゅうござる🤗
この狂言noteはけんすけ福のかみが
大蔵流 茂山千五郎家の狂言を中心に学んだことや思うことを描いてござる

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