BitcoinWPはLaTexで書かれていた。
2023年12月22日 宍戸健
COPA裁判に関する証拠資料提出に関して、9月25日クレイグ博士の自宅から古いUSBドライブが発見され、その中にBitcoin White Paperが最初に書かれたオリジナルのLaTexファイルがあることがわかった。LaTexファイルはクレイグ博士、弁護団により精査された後、裁判所と原告に報告、その後取り扱いの条件交渉諸々あった後、12月20日に追加の証拠資料として提出されることになった。
見つかったUSBハードドライブはSamsung製とMyDigital製の二つで、その中にクレイグ博士が2008年のホワイトペーパーリリース前までに勤めていた会計士事務所BDO時代に使っていたファイル群(2004〜2007年末までのデータ、つまり約15年前のもの)がそのまま保管されていた。
そのファイルの中の一つがBitcoinWPでそれはPDFに変換される前のLaTexのファイルであった。そう、オリジナルのWPはWordとかで書かれたのではなく、理系の人が数式が入った論文とかを書くときに使われるLaTexと言われるアプリで書かれたのです。LaTexについてはこちらを参照ください。
LaTexではこんな感じで、数式を書くときにWordとかより美しく書けるのが特徴です。僕はクレイグ博士のノートとかチラ見したことがあるんですが、会議中でもくそムズカシそうな数式とか方程式とか、うわ〜っとなぐり書されてました。そして、そのページをぶわ〜っとちぎって秘書に渡して耳打ちして説明したあと、秘書が清書してnChainのチームに渡すそうですww。ちなみにホワイトペーパーSection 11(Calculations)にも方程式書いてありますよね。
こんな感じでクレイグ博士は四六時中ガシガシ数式書いておられます。
というわけで、このWPのオリジナルLaTexファイルは2007年12月31日以前に書かれたドラフトのようで、そしてこのファイルからPDFに変換できますが、逆にPDFからLaTexを変換(リバースエンジニアリング)することは現実的、技術的に不可能なことがわかっているそうです。なので、非常に重要な証拠の一つとなるのです。
そして、このBitcoinWPLaTexオリジナルファイルを含めた97のドキュメントを証拠資料として追加することについて、COPA側はいつものように「このファイルも偽造だ〜、なぜならうんぬんかんぬん。」とあらゆる難癖をつけて証拠資料としての採用に反対していましたが、結局、裁判長は証拠として採用することとなりました。
メラー判事「162: COPAとCoreDev達陣営が書面と口頭で、追加書類を除外するよう私を説得す るために相当な努力をしたことは事実であり、しかし、その努力は失敗に終わった。」(ようはCOPA側はこれが証拠資料採用されるとひじょーに困るのであらゆる難癖つけてゴネていたのです。しかし失敗。笑)
というわけで、2月のTrialには2007年12月31日前に書かれたBitcoinWPのLaTeX版が登場します。
ちなみに、Internet Archiveに残っている一番古いBitcoin. orgからダウンロードできるBitcoin White Paper (PDFバージョン)のメタデータ日付は2009年3月25日になっています。この時期にはクレイグ博士が使っていたの当時OpenOffice. orgが開発していたWriterというアプリで、LaTexのプラグインがバンドルされていたそうです。
裁判資料を読むと、原告、被告、裁判長とも膨大な資料を精査するために膨大な時間と人材が使われていることがわかります。とくに原告COPAはとにかく自らが持つ「クレイグ博士はSatoshiじゃないと証明できる独自資料」がないために、クレイグ博士側の全ての提出資料に反論しなければならず、このため資金、時間、人材をかけて屁理屈を展開しています。
例えば、COPA側の技術担当参考人の一人は、5ヶ月かけて約1,000ページの資料を作成してクレイグ博士の資料の反論を展開しており、そうするととりあえず裁判長、クレイグ博士側の技術担当参考人はとりあえず読まなければならないのです。ほんとこんなことやってると、時間と資金が膨大にかかります。
もしこのあたりの細かい攻防を研究したい方は裁判所資料原文(12月20日公開)を読んでみてください。また、そのファイルをPDFにして日本語にDeepL機械翻訳したもの(81ページ)も以下に貼り付けておきます。
それでは今日はここまで。
尚、サムネールの写真はクレイグ博士のシドニー郊外Bagnooにある別荘です。ここのマシンルーム(元馬小屋。写真左の建物。光ファイバーが引いてあるのもわかりますね。)でジェネシスブロックが誕生したそうです。