SaaS内AIエージェントが最強
新年の挨拶もそこそこに、私たちは2025年という新しいステージを迎えています。2023年から2024年にかけて、生成AIやLLM(大規模言語モデル)への関心が最高潮に達したものの、現在ではそれらが急速にコモディティ化し、以前ほどの「驚き」は薄れてきた――。そんな状況を背景に、「AIエージェントをどのように活用するか」というテーマが、いま一度クローズアップされています。とりわけ、ChatGPTやClaudeなどの汎用的AIエージェントと、SaaSアプリケーションに組み込まれた専門型AIエージェントの使い分けが重要視されるようになってきました。
汎用モデルの限界と専門エージェントの強み
私自身、ChatGPTやClaudeのような汎用モデルの柔軟性や幅広い対応力には大いに期待している一方で、やはり特定の業界や分野での要求には「もう少し専門的な知識や機能がほしい」と感じることが少なくありません。
たとえば運送業界向けのシステムであれば、荷物追跡や配送ルートの最適化といった特化型のタスクがあります。このような場面では、あらかじめ業界特有の用語や手続き、具体的なKPIなどを知悉したAIエージェントを備えるSaaSの方が断然使いやすい。業種特化のSaaSは、そのサービス内に組み込んだAIエージェントによってユーザーの操作プロセスを大幅に省力化でき、文字通り「人間がシステムの使い方を覚えなくても目的を達成できる」世界を提供するからです。
実際に私がテストした「ラクハブ」という運送システム内のAIエージェントは、粗利を見たいといった経営分析系の依頼に対し、なんと8秒で結果を表示してくれました。対する汎用ブラウザ操作型AIエージェント(Browser Use)は、延々と画面遷移を繰り返したあげく“無限ループ”に陥ってしまいリタイア。一目瞭然で専門特化型の方に軍配が上がったわけです。もちろん、汎用モデルでもがんばれば同様のタスクをこなせる可能性はありますが、必要な操作や判断ロジックを「一から指示する」手間を考えれば、圧倒的に不便といわざるを得ません。
こうした実例を踏まえると、SaaSベンダーが自社サービスに専門エージェントを統合する動きは、今後ますます加速すると予想されます。一時期「LLMが既存SaaSを飲み込むのでは?」という見方もありましたが、実際には逆です。SaaSベンダーは自前の分野特化AIエージェントを強みにしてユーザーを囲い込み、そこに汎用LLMの機能を取り込むことでさらに高付加価値なサービスを提供できるからです。結果として、SaaSはむしろユーザー数を伸ばし、他の同業ベンダーにも「AI機能を導入しなければ競争力が落ちる」という圧力をかけることになります。
LLMのコストダウンと「呼び出す側・呼び出される側」の戦い
2024年には、「LLMがオワコン化した」とまで言われるほど、汎用モデルの特別感は急速に薄れました。技術の進歩によって性能が向上しつつ、一方で運用コストは下がり続け、わずか半年で90%ものコストダウンを実現する事例(DeepSeek v3など)まで出てきているからです。これはAIエージェントが、ソフトウェアとしての性質ゆえに複製コストがほぼゼロへ向かう典型例といえます。
このように生成AIがコモディティ化していく流れは、SaaS企業にとって二つの意味があります。
AIを呼び出す側としてのSaaS
SaaSベンダーは自社の分野特化データや機能を組み合わせ、最適なLLMを選択しながらユーザーに高度なサービスを提供する必要があります。複数のLLMがしのぎを削るほうが「モデルソムリエ」としての腕がふるえますし、特定のモデルに依存しすぎると最終的にモデル提供元に主導権を奪われるリスクがあるからです。AIに呼び出されるSaaSとしての役割
汎用エージェントや他のSaaSから自動操作(SPaaS:SaaS Proxy as a Service)されるシナリオが増えると、ユーザーインターフェース(UI)を人間ではなくAIが操作することになります。すると、既存SaaSは「人間のUI体験」を価値の源泉としていた部分が揺らぐかもしれない。画面上のボタンやフォームはAIにとって不要かもしれないからです。しかし、それでもSaaSには業務に最適化されたデータ構造やワークフローが残ります。結局、専門エージェントが充実したSaaSを起点にデータや文脈を引き出す方が、AIにとっても効率的になるでしょう。
専門SaaSの「統合AIプラットフォーム化」
将来的には、SaaSが自社提供のエージェントを軸に、「自前のサービスポートフォリオ×他社サービス連携×最適なLLMの選択」という三位一体の戦略をとるようになると考えられます。例えば幅広い業務領域を持つAdobeやSalesforce、Microsoftといった大手ベンダーであれば、もともと社内の製品同士の連携が課題でした。しかし、エージェントとLLMを活用することで、この“縦割り”の状態を内側から自動化し、一気通貫でユーザーに利便性を提供することができるようになります。
また、ワークフローを掌握しているServiceNowのような企業は、企業内の属人的部分をエージェントを使って自動化し、さらに他のSaaSと組み合わせることによって新たな付加価値を生み出せるかもしれません。こうした「エージェント連携基盤」を握ったSaaSは、業界全体のハブになり得るのです。
“もう操作しなくていいSaaS” へ
SaaSはもともと「業務データをクラウド上で一元管理しつつ、UIを通じて使いやすくする」ことに強みがありました。しかし今後は「ユーザーがわざわざ操作しなくてもAIが勝手にうまくやってくれる」形へと進化していくでしょう。もちろん、人間による最終判断やクリエイティブなアイデアの投入が必要な場面は残りますが、「定型的な分析や操作はAIがすべて代行する」未来がもう目の前に来ているのです。
ここで鍵となるのは、SaaSが「ただのデータベースのラッパー」ではなく、「業務に最適化されたデータやワークフローを提供する存在」として価値を発揮する点です。人間がUIを通じて「登録・編集・確認」を行っていたものが、AI同士の通信と自動化によってほぼ完結してしまう。そうなったとき、SaaS各社が如何に専門性の高いエージェントを内包し、その業種・業界に深く根ざしたデータモデルと操作ロジックを提供できるかが勝負の分かれ目になるでしょう。
まとめに代えて
2024年は「LLMがオワコン化した年」とさえ言われましたが、実際には「汎用モデルを取り巻く熱狂が落ち着いた年」というのが正しいでしょう。そして2025年には、専門型エージェントをもつSaaS同士が手を組んだり競い合ったりしながら、“AIは呼び出すか呼び出されるか”の時代へ本格突入していきます。
AIエージェントという新たな波は、SaaSを終わらせるどころかさらなる発展へと導く要因になり得る。 これが私の現時点での結論です。2025年も、昨年以上に激しい変化とイノベーションの連続となりそうですが、「専門型AIエージェント×SaaS」の組み合わせが、ビジネス全体をスマートにし、より良い顧客体験を生み出す中心的存在になっていくことは間違いありません。
改めまして、昨年は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。新しい年が私たちにとって、AIを最大限活用し、より創造的で効率的な未来を切り開いていく一年となりますように。
※この記事はchatGPT pro modeによって作成されています。その際には私個人の見解とこちらの記事を参考にしております。