22時47分、霧雨の降る街を歩く。

夜道を散歩して感傷に耽っていた時の感覚を詩にした。文才は無いので面白くもないが、後で見返して「過去の私はこんな葛藤を抱えていたか」と思えるのも悪くないと思ったので恥を承知で残しておくことにした。



夜、コンクリートで整備された小川の横を歩く。
水のせせらぐ音、虫の鳴き声、霧雨に反射してぼんやりとした電灯、ビルの灯。
ゆっくりとゆっくりと歩く。ゴム底のスニーカーの足音が聞こえるくらいに耳を澄ます。
するとなんだか目が潤んでくる。形容不能な感情がじんわりと染みるように広がる。

形容できない虚無感。遠くに見える明りが他人と私に見える。
私は薄闇の中でその光を眺める。
帰り道、やらなければならないことが沢山あるのにも関わらず、ビールに誘惑される。普段飲まないのに。
なにかから逃げようとしている。飲んでもビールのアルコール程度じゃ酔えないのに。

机に向かって、作業をして、充足を得て、でもふと疲れに気づいて、何かしらの壁にぶつかって、沈み込むような感覚とともに心にヒビが入る。
夜が明けて目覚めると、ヒビにはテープが貼られてる。私はバラバラになっていないと気づいて、また机に向かう。

ずっと走り続けて、虚無が入る隙間もないくらい頑張って、頑張って、頑張って。でもまだまだ未来は遠くて、息絶え絶えでもまだ止まれない。
それでももっと頑張れる人は居て、私の頑張りは外から見れば取るに足らない。
この程度で精神が揺らぐ心の弱さに嫌気が指して、椅子から起きれなくて、壁を見つめる。
壁には自分の弱さを殺す言葉、今の自分の無価値さを突きつける言葉、立ち上がるための杖となる言葉が「私の字」で書かれていて、それを読んで弱さを殺して杖にしがみついて立ち上がる。

「やりたいと思ったタスク」だけを選んで全力を捧げているはずなのに何か満たされない。
何かを成し遂げるだけでは埋まらない空間を自覚する。

世界は冷たくて、冷た過ぎて皮膚は凍てついて少しずつパリパリと剥がれていく。それでもなんとも無いと取り繕ってまた進む。
芯で燃える熱が凍って動かない体を無理矢理に動かして走るから体がどんどんひび割れていく。

ひび割れる痛みと、進んで成長する感覚だけが生きている感覚で、それ以外はよく見えない。

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