建設業界のアナログ慣習から脱却せよ! ~アナログな実態からデジタル化、DX化へのコツまで~
こんにちは。建設業界イノベるメディア編集部です!
近年、世の中はデジタル化、DX化がどんどん進んでいます。
ところが、建設業界の特に中小企業の現場に目を向けてみると、まだまだ驚くほどアナログなのです。
今回はその実態と理由、解決策について考えていこうと思います。
根強いぞ、FAX文化
今の若い世代の中にはFAXを使ったことがない人もいるかもしれませんが、建設会社によってはFAXはまだまだ現役のところもあります。
もちろんほとんどの会社でメールは導入されていますが、社内であまり活用されていない場合はメールが届いてもすぐ気づかない、一方FAXだと目に見えて届いたことがわかるので便利だ、という場合があるのです。
FAXは「紙」。
各所からさまざまな用件で毎日届くと、どんどん紙が溜まっていってしまいます。それを用件別や会社別に仕分けるだけでも一苦労。
一枚だけのFAXを巡って「あのFAXどこいった?」なんてことがよく起こるのです。
煩雑の極み!見積書、請求書問題
ひとつの建物を建てるだけでも、非常に多くの種類の専門業者が関わる建設業。見積書や請求書の数も必然的に多くなります。
しかも会社ごとにそのフォーマットは異なることが多いのです。
そのため、会社によっては他社から受け取った見積書を自社の見積システムへ入力し直したり、その後、原価管理ソフトに再度打ち込む、というプロセスを踏んでいたりするのです。
人の手入力を何度も繰り返すとミスが発生するのは必然。
結果的に、間違いだらけの数字が原価管理ソフトに打ち込まれている……ということは少なくないのです。
また、フォーマットやルールが異なるのは見積書、請求書類だけでなく、現場の書類、安全書類、入金や相殺の案内(支払通知書)など多岐にわたります。
数多くの取引先ごとの業務ルールに合わせていくことは覚えることも難しく対応しきれないから、要領がわかっている限られた取引先としか仕事をしない……という選択をしている会社も少なくはありません。
統一感のなさ、煩雑さによってビジネスチャンスを自ら逃さざるを得ない悔しい状況も珍しくはないのです。
建設現場での言った言わない問題
建設現場では、図面や仕様、スケジュールなどさまざまな変更が日常茶飯事。
ところが、直接の紙図面の手渡しや口頭での指示や依頼が多いので、どうしても「言った、言わない」問題が多々発生してしまいます。
これは現場での混乱を招くだけでなく、自社の損失を増やしてしまうことにつながります。
極端な解決策としては、口頭の指示や依頼はすべてスマホで録音しておくくらいの自己防衛が必要となるほどです。
“アナログ”に人手をとられる!人手不足の時代なのに……
今まで紹介してきた建設現場のアナログな事例に共通していること、それは“アナログ”な取引先のルールに対応するために、大切なリソースが奪われていることです。
自社ではデジタル化が進んでいたとしても、“アナログ“な取引先の仕様やルールに合わせるために、必要以上の時間や人を費やして対応是ざるを得ない業務がとんでもなく多いのです。
特に建設業界は人材不足が深刻なはずです。
そんな中で取引先ごとの取引先都合のアナログ対応のために、大切な人材の多くの時間を使わなければならないことは、本当に大変な損失です。
さらにアナログ業務に対応する人材さえ確保できないから、社長自らが事務作業に対応している中小企業が少なくないのも現実。
これではとても社長本来の取り組むべき業務である経営管理や社員教育に集中できません。
デジタル化を推進するコツ
今まで見てきた“アナログ”による弊害を乗り越えるためにはやはりデジタル化、DX化が急務です。だからといって、デジタルツールを導入すればそれで解決!とは残念ながらなりません。
現場の人が使ってくれないと宝の持ち腐れになるからです。
「このままでいいんだ」と変化を望まない人が多い場合はどうしたらいいのか。それは、変化を望まない人が本当に「困っているところ」からアプローチすること。
たとえデジタルツールに前向きでない人でも、多かれ少なかれ、日々の業務の中で困っているポイントがあるはず。
そのポイントを解決することから導入をはじめると「こんなこともできるんだ!これなら、あんなこともできるのかな?」と期待や想像がふくらみ、徐々にデジタル化の範囲を広げていくことができるかもしれません。
業界がアナログなままだと自社だけデジタル化しても意味がないのでは?と思うかもしれません。
けれども、たとえばFAXの場合は紙で出力せずに、デジタルで受信、管理するようにすれば、取引先や種類ごとに自動でフォルダに振り分けることもできるし、後から検索することも簡単にできる。
煩雑な見積書、請求書問題でも同様です。取引先から紙や手書き状態の書類で受け取ったとしても、自社ではデータ化して保存。
フォーマットやルールが異なるものでも処理できるツールを活用することで、手作業でひとつひとつ対応する手間を省くことができます。
建設現場での「言った言わない」問題も同様です。
ファイルの更新履歴や、図面の変更履歴などをデータとして記録していくことで「いつ、誰が、どのように」変更をしたかということが証拠として残っていくので、記憶頼りの「言った言わない」は少なくなっていきます。
つまり「業界がアナログだから」といつまでも自社もアナログを守り抜く必要はなく、取引先からのアナログな依頼や情報も自社ではデジタルデータとして取り扱っていくことでも、ずいぶんと効率化や問題解決が図れるはずです。
デジタル化からDX化へ
デジタル化が各業務工程に浸透するだけでも十分に効率化が実現するため、これに満足してしまいそうですが、その先に待っているDX化までを見据えて計画的に進めていくのが大切です。
デジタル化によりそれぞれのデータを関連づけ、蓄積しデータ分析、データ活用をしていくことで、IT化による生産性の向上だけでなく、想像を超えた効率化や生産性向上がもたらされることにつながり、新たなビジネスチャンスが見つかる可能性が広がっていきます。
煩雑な作業に追われていた社長も、時間に余裕ができることで、腰を据えて経営判断の業務に集中できるようになり、その蓄積されたデータから適切で最善な経営判断ができる分析結果が得られるようになるのです。
このあたりのDX化の話は別の投稿「DXは、建設業界の“できる人”を裏切れない!」でも書いているので、ぜひご覧ください。
アナログな業界を根こそぎ変えることはとても時間がかかります。今すぐにはできなくても、ひとつひとつの単純作業からでもデジタル化はすすめていけるはず。
まずは、今すぐできることからデジタル化への取り組みを始めてみませんか?
これからも建設業界のDX化について、より詳しく、より具体的に、情報発信していこうと思っていますので、ぜひチェックしてください。
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