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『君は作家になれ!』と鍋洗う夫

以前、ミステリー界の巨匠・伊坂幸太郎先生がこう言っていました。

僕の作品は、妻との共同作業です。妻が「こう変更してみたら?」「このキャラは深堀を」と言ってくれるからこそ、僕の作品は生み出されている。そして家事や炊事などはすこしで良くて、作家業に専念できる」と。



私は女性作家ですが、それをいうと、少なくない人からこう言われます。

「夫や子供の世話をみなくていいの?」と。

夫は成人男性、子どもは五歳でもうすぐ小学生。そんな人たちの「世話」を24時間見ないといけないと思っている人は、まず自分の偏見を改めてほしい、と強く思うのです。


たとえば、荒川弘先生は、子どもを3人生みながらも休載せずに3本も連載しました。

おかざき真理先生も、子どもを育てつつ、広告代理店に勤めながら連載していました。

内田春菊先生も、4人の子どもを生みながら、癌になった今も精力的に活動し続けています。


「結婚している女性は家事育児に専念しなくちゃいけないから作家に向かない」なんていうのは遠い昔の話なのです。




我が家の場合、五歳の息子はもうすぐ小学生で、自分のことはなんでも自分でやりたい時期です。頭のいい子で、「お母さんが仕事するなら応援する!」という心優しい子でもあります。


夫は、漫画とアニメ大好きのワンピースオタク。「私、作家になるから養ってくれる?」と冗談で聞くと、「もちろん!」と笑って言ってくれる人です。家事炊事育児もバッチリで、私が東京出張で一二週間留守にしても、家はむしろ綺麗になっているほど(笑)。そもそもこの令和の時代に、家事育児炊事ができない男性なんて、ほとんどいないんじゃないかとすら私は思います。


私が物語を書くと、夫はそれはもう喜んでくれて、第一の読者として忌憚ない意見をいってくれます。夫婦そろって漫画に育てられてきたので「ここの展開はもっと早く」「キャラの深堀を」なんて言ってくれます。伊坂幸太郎先生ほどではないですが、これも夫婦の共同作業なのではないか、とも思います。



実は私は、二度、ジャンプのスカウトキャラバンにお邪魔しております。(その節は皆さまありがとうございました!!)


一度目は、それはもうぺーぺーの、ひよこにすらなってない卵のとき。まだ学生を出てすぐのころでした。ネームを見ていただいたのですが、

「そうですね……パンチの仕方とかがちょっと弱いかも……。敵キャラも、あんまり怖くないかもなあ」


なんて優しい対応をしていただけて、びっくりした覚えがあります。

正直、今見直してもツッコミ法大の漫画に、よくそこまで紳士的に対応して頂いたなぁ!と! プロの編集さんに対して、失礼だったなぁ! と、うずくまって笑えってしまえるほどの出来でしたから。

こんなど素人の作品にも「はい、ボツ!やり直しね!俺の時間を無駄にするんじゃねーよ!」って原稿びりびりに破いたりしない編集者さんたちには、頭が上がりません


どんな作品にも、長所と短所を見つけようとしてくれる姿勢には、プロとしての矜持と、「面白い漫画を世に出したい」という気持ちを感じて感動したほどでした。




そして二度目は、今回応募した『八咫烏様は願わない』の前進になった作品。

でも、実はまだ原稿用紙に書いたのは2作目でした。それを性懲りもなくジャンプのスカウトキャラバンに持っていったのです。


他にもたくさんうまい方がいて、数分で何もせずに帰されているなか、

「私もその一人になるだろうな。でも、ここに来たことは無駄じゃない。編集者さんたちのプロオーラを感じるだけでも十分!」なんて思ってました。


ところが!「ストーリー、いいですね!コマ割りを直してまた持ってきてください!」そう言ってもらえたのです。涙が出そうなほど驚きました。


「はい、コマ割り直します!」と返事すると(昔から、素直さがウリです笑)

「では、これからよろしくお願いします」と名詞を頂きました。


たった二作目の落書きのようなネームが、他の超絶技巧の作品を上回ったと知って、またも驚きました。いえ、それは気まぐれだったのかもしれませんが、その後も名刺を下さった編集のIさんとは何度もネームやりとりをさせていただきました。本当にありがたく、アドバイスの一つ一つを見にしみ込ませています。


その間に「一度、漫画賞に応募してみるのはどうですか?」と言われて、今回のジャンプラ賞に応募することになりました。ネームではなく、小説形式での初めての応募。どんな結果になるかは分かりませんが、たくさんの応募者と刺激しあえていること、プロの編集さんに目を通していただけることだけで嬉しくてたまりません!



ここまで、読んでいただき、ありがとうございました!

ぜひ、本編も読んでみていただけたら、本当にうれしいです!


今回、私は『八咫烏様は願わない』を連載部門に、『追憶の翼』を読み切り部門に応募しています。どうか、皆さんには読んでいただければ嬉しいです。そして、忌憚ない意見をいただけると嬉しいです!

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