子犬を拾いました。名前は「教育格差」です。
ぼくは、教育関係の仕事をしている。
子犬を拾ったような感覚で、気がついたら飼うことになっていた。本当は猫の方が好きなのだけど、ぼくが面倒を見るんだ!という感じ。
拾ったのは、大学に進学した時だった。
高校までの僕は、無気力で、どれだけ労力を割かずにある程度の結果を出すことがカッコいいと思っていたダサいやつだった。変に要領はよかったので、普段は勉強をまったくせずに、テスト前3日間だけ勉強していい成績を取っていた。部活でも練習をさぼってみたり、真剣に練習に取り組まずに、レギュラーを取っていた。本当に嫌なやつだったと思う。
僕は地方育ちで、小中は一校しかなくて世界かなり狭かった。まちには本屋もなかった。将来のことを考えても、役所勤めの父に、医学部に通う兄。周りを見渡しても学校の先生か、農家か美容師。弁護士という職業があることは知っていた。
なんとなくだけど、認識している仕事をありきたりでつまらなそうだと思い、少し珍しい推薦制度を使って東京の大学に進学した。ちなみに高校も推薦で入っている。なので一度も受験勉強をしたことがない。勉強は当時好きではなかったし、田舎故に塾もなかったので、周りもあんまり勉強している空気感がなかった。
そんなこんなで東京の大学に進学して「教育格差」という子犬を拾った。
「教育」という言葉が持つ意味は広すぎるだが、わかりやすいのでタイトルにも使っている。具体的には、進路選択における地方と都会の「情報格差」や「意欲格差」である。
東京に来て、美大という選択肢があったことを知った。羨ましかった。もちろん田舎には、アーティストやクリエイターは見かけないし、美術予備校もない。その選択肢に気がつかなかった。それだけではない。私立、小学受験、中学受験、高校留学、IT関係の仕事、コンサル、全部田舎にはなかった。あまりにも世界が違いすぎる。
これは僕が解決しなきゃいけないと思って、無気力に最低限の努力である程度の結果を出すスタンスをやめた。
いわゆる認知能力に関しては、オンライン教材などの発展で以前よりも幾分かマシであるような気がする。しかし、非認知能力に関しては解決の兆しがない。僕は非認知能力版スタディサプリを作りたい。そう思って、大学時代から教育関係の仕事をしている。来年度から、その夢に一歩近づく。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?