鉄欠乏
健診を受診される際に貧血を指摘される方も少なくないと思います。
今回は貧血の要因として最も多い、鉄欠乏について書いてみたいと思います。
鉄欠乏は他人事ではない
血液検査をしないと軽い貧血はわかりません。
成人女性では約9%程度、成人男性でも4%程度とされており、以前よりも増えてきていることが報告されています(J Nutr. 2021; 151: 1947-1955)。
つまり、女性についてみると10人いれば1人は鉄欠乏性貧血であり、一般に想像されるよりかなり多い疾患だと言えます。
さらに、一般的な簡易の血液検査ではわからない、貧血まで至らない鉄欠乏状態(隠れ貧血)はなんと成人女性の24%程にみられると推測されており(令和元年国民健康・栄養調査報告)、もはや他人事ではありません。
鉄欠乏でなにか問題があるのか
もちろん、鉄欠乏性貧血でも多くの方は軽いものであり、隠れ貧血ではそもそも定義からして貧血はありません。
それなら、問題にならないように思えるのですが、実は以下のような悪影響がすでに出ていることが少なくありません。
疲れやすい
気持ちが落ち着かない、イライラする
口の中が荒れる、口内炎ができやすい
就寝時に足がムズムズして落ち着かず寝付けない
疲れが溜まっている、気のせいだと思わずにクリニックに相談するのも一考
ご覧になって気づかれるかもしれませんが、上記のような症状から鉄欠乏をイメージすることはほぼ無いのではないかと思います。
つまり、以前と比べると今ひとつ体調が良くない、、など、漠然としていても、気になる変化がある場合は内科を掲げる診療所・病院への相談を考慮するのは良いことだと思います。鉄を補充することで体調が改善してくるなら手軽であり、かなりメリットがあると思います。
また、なぜ鉄欠乏になったかという理由の方に重要な病気が隠れていることもあり、検査の過程でそちらの早期発見・治療に繋がる可能性もあり、ぜひ頭の片隅にに置いておかれると良いと思います。