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【金利と資産価格の理論値🌎】世界的な株安と米国債を震源とするマネーの動揺💵:日経新聞解説📰2023/10/10

日本経済新聞の記事で
注目したい内容がありましたので
記事にしたいと思います💖

長いですが、目次をご活用いただきまして
どうぞ最後までご覧ください!

米国債、マネー動揺の震源 円1年ぶり150円突破――米金利上昇でリスク回避 財政の信頼低下、世界同時株安

日本の長期金利0.8%台
 世界で株安に拍車がかかっている。ダウ工業株30種平均は3日、前日比1%安の3万3002ドルまで下げ年初来でマイナスに転じた。
堅調な米景気を背景にした金融引き締めの長期化観測や米財政運営への信頼低下がくすぶり、米長期金利の上昇(債券価格の下落)に弾みがついているためだ。投資家はリスク回避の姿勢を強めている。

 米国株の予想変動率を示し、「恐怖指数」とも呼ばれるVIX指数は3日、取引時間中として約5カ月ぶりに節目の20を一時上回った。投資家の不安心理が高まりつつあることを映す。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真チーフ・ポートフォリオストラテジストは「米実質金利の大幅な上昇がリスク資産全般の重荷になっている」と指摘する。

 米金利上昇の起点となったのは、9月20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。
想定以上に堅調な米景気を踏まえ、2024年の利下げ回数が4回から2回に減るとの見通しに変わった。市場では政策金利が「高く長く」推移するとの見方が広がった。

 米政府閉鎖こそ回避したものの、10月3日には米連邦議会下院が野党・共和党トップのマッカーシー議長の解任動議を可決した。米政府の利払い負担が急増するなか、財政運営が混乱するとの見方から債券売りが進んだ。

 一般的に金利上昇には2つのパターンがある。
好景気に伴う企業の資金需要増加を見込んで上がる局面と、財政悪化などで国債の信用リスクが高まることを織り込んで上がる場合だ。

 足元の動きは、世界的な株安を伴った後者の側面が強い。急ピッチの金利上昇でリスク回避を強める投資家は現金などにシフトしている。

 金利が上昇すれば国債価格は下がるため、米地銀などが保有する国債の含み損が再び膨らむ懸念がある。
銀行が融資をさらに絞り込めば、「商業用不動産の苦戦と相まって、金融市場への負荷が高まるおそれがある」(ドイツ銀行)。

 余波は世界に広がっている。日経平均株価は4日まで5日続落し、この間の下げ幅は1800円超に及ぶ。
日本の長期金利は同日、約10年2カ月ぶりに0.8%台まで上昇。金利上昇で売られやすいハイテク株だけでなく、機械株などの景気敏感セクターも売られている。香港ハンセン指数も3日に3%安となるなど、幅広い地域で株安が進む。

 米長期金利の上昇はどこまで続くのか。「市場は金利の適正水準を探りあぐねている」。米ゴールドマン・サックスのトレーダーは9月末の顧客向けメモでこう指摘した。10月に入っても状況は変わっていない。

 「5%を超えても大きく上昇していく可能性はある」。大和証券の谷栄一郎チーフストラテジストは、バイデン米政権の積極財政に伴う国債の増発が今後も金利上昇を促していくとみる。

 もっとも、「5%という心理的節目に達すれば、マクロ系のヘッジファンドなどを中心に買い場とみる投資家も増えてくる」(東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジスト)と、一部の投資家の買いが上昇トレンドを一服させるとの見方も根強い。

 FRB高官による講演や6日発表の9月の米雇用統計など、週内は年内の利上げ見通しを左右するイベントが相次ぐ。
米長期金利の動向が世界の金融市場を揺らす展開はしばらく続きそうだ。

2023/10/05 日本経済新聞 朝刊 3ページ

記事に対するコメント📝

今回の記事では、世界で株安に拍車がかかっている件について取り上げてみることにしました

堅調な米景気を背景にした金融引き締めの長期化観測や米財政運営への信頼低下がくすぶり、米長期金利の上昇(債券価格の下落)に弾みがついているため、投資家はリスク回避の姿勢を取っているそうですね
VIX指数とは、シカゴ・オプション取引所(CBOE)が作り出した「ボラティリティ・インデックス」の略称ですが、以下のサイトなどから詳細についてはご確認ください💗

VIX指数が高いと株価が急落する可能性が高いということになります

すなわち、VIXが高いほど、投資家が株式市場に対して不安を感じていることを示すため、株価が急落する恐れがあるということです

より正確には、VIXはボラティリティ(変動性)を示すため、大幅な株価の上昇が期待されるケースであってもVIXは上昇することになるのです

またマクロ経済学の初級レベルの議論ですが
一般的に金利上昇には2つのパターンがあることについて補足解説いたします

まず金利とは、貸付資金市場の需給バランスで決まる価格のような解釈をしていただければあながち間違いではないでしょう

そして、この金利上昇するパターンは、以下の2つが想定されます
➀好景気に伴う企業の資金需要増加を見込んで上がる局面
②財政悪化などで国債の信用リスクが高まることを織り込んで上がる場合

➀のケースは、プラスの要素が多いような気がしますよね👏
しかし、②のケースはあまりポジティブな経済情勢とは言えません
このような場合、景気が悪化するリスクや金融資産への信用リスクの高まりによる投資家のリスクプレミアムの上昇によって、結果的に金利が上がることになるのです

資産価格決定メカニズム🌟

以下では、資産市場における理論モデルについて解説いたします

説明に使用する記号は以下の通りです📝

$$
r_t: Interest (Profit) rate\\d_t : Dividend (Income gain)\\p_t : Asset Price\\(p_t - p_{t-1} )> 0: Capital gain \\      \\ \\t: time series(1,…,∞)\\ \\ E(・) : Expected Value \\ρ:Risk Premium
$$

債券価格の理論値の導出

まずは、債券価格の理論値を求めてみたいと思います
なお、議論簡略化のため、利子率は時間を通して一定とします

$$
p_0= \frac{d_1+p_1}{1+r}…(1)
$$

まず(1)式、右辺の分子にあるp1がどのように決まっているのかを考えて行くことにしましょう

利子率は、通時的に一定の値を取るので(1)式から現在の債券価格が求まります

$$
p_0 = \frac{d_1 + p_1}{1+r}…(2)
$$

次に、(2)式のp1についても同様の関係が求められるのです

$$
p_1 = \frac{d_2 + p_2}{1+r}…(2)’
$$

このような関係が通時的に成立していることになりますから、p2に対して逐次代入を繰り返していくと、債券価格の理論値に対して以下の関係を得ます

$$
\\p_0 = \frac{d_1}{1+r}+\frac{d_2}{(1+r)^2}+・・・\\ \\ \displaystyle\sum_{t=1}^∞\frac{d_t}{(1+r)^t}+\displaystyle\lim_{t\to∞}\frac{p_t}{(1+r)^t}…(3)\\ \\we assume, \displaystyle\lim_{t\to∞}\frac{p_t}{(1+r)^t}=0 \\   \\   \\Bond Price:p_0 = \displaystyle\sum_{t=1}^∞\frac{d_t}{(1+r)^t}…(4)
$$


このように安全資産である債券価格の理論値は(4)式のようになります
これは、資産価格の割引現在価値モデルとされています📝

割引現在価値という考え方を用いれば、債券価格の理論値は、将来にわたって得られる配当の割引現在価値の総和に等しい、ということになるのです🌈

また、無限期間において一定の配当が得られることを仮定すると、利子率と債券価格との間には、負の関係がある、ということを理解できると思います📝

要するに、利子率が上昇(下落)したら債権価格の理論値は下落(上昇)します

株式などの危険資産の価格

株価など危険資産の価格の理論値も安全資産である債権の価格決定メカニズムと同様に計算することができます

ここでも利子率やリスクプレミアムが時間を通じて一定であると仮定します

すると、危険資産における期待収益率と利子率との間に成立する以下の関係から同様に導き出すことができるのです

$$
\\p_0^{Risk} =\displaystyle\sum_{t=1}^∞\frac{E(d_t)}{(1+r)^t} +\displaystyle\lim_{t\to∞}\frac{E(p_t)}{(1+r+ρ)^t}…(5)\\ \\we assume, \displaystyle\lim_{t\to∞}\frac{E(p_t)}{(1+r+ρ)^t}=0\\ \\       \\Finally, we get \\ \\p_0^{Risk} =\displaystyle\sum_{t=1}^∞\frac{E(d_t)}{(1+r+ρ)^t}…(6)
$$


(6)式が、危険資産の理論価格決定メカニズムになります

この式における新たなインプリケーションとして、危険資産に対するリスクプレミアム(ρ)が増加したら、リスク回避的な志向を持つ投資家からの危険資産に対する需要が低下しますからその分、危険資産の価格が低下する⇔金利が上がることになる、ということを新たに確認できたのではないでしょうか

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