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【短編集】サラリーマン、カナダの森でしごとを探す。

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短編(5,000字ぐらい)のエッセイを集めました。
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#カナダの森でしごとを探す

森をさまよう【完全版】

重いカフェテリアのドアをグッと押す。ギギッと軋んだ音がした後、ゆっくりとドアが開く。まだ11時前ということもあり、カフェテリアの人はまばらだ。今の時間帯は、林業学校の教官や市の林業課に所属するレンジャー達が休憩している。ティム・ホートンズのコーヒーとドーナツも置いてあるので、僕もクラスの合間に時々カフェテリアに来ることがある。今日は休憩しに来たのではなく、テイクアウト用のランチを取りに来た。キョロキョロと見渡すと、食器返却コーナーの近くにテーブルが設置され、茶色の紙袋がうず高

¥500

森での一夜【完全版】

周囲を見渡すと既に闇に覆われていた。焚火の炎だけが目の前で揺らめく。人の声も動物の鳴き声もここまで届かない。空気が冷たく澄んでいる。静寂の中、風に吹かれた樹々が、時折ざあざあと音を立てる。普段は、喧しいぐらいのクラスメイトが誰一人いなくて、ひどく心細い。森の中では、何だか自分が弱くなったような気がする。目の前に視線を戻す。ジジジッと炎が音を立てた。 林業学校のカリキュラムの一つであるブッシュクラフト。自然の中にあるものを利用し、森や自然の中で過ごすための技術。このクラスでは