周りからの「あなた」への評価は、環境、与えられた役割によって全く異なるものになってしまう

「今日も社長に2時間怒られる。辞めたいけど30歳で自分から辞められる立場にはないよな…。」
「ついにクビか!?と思ったけど、まだだった。○○さんにはもう諦められているね。」
「社長に車の中で散々怒られた。道路が分かっていない事にあきれられる。」

今から5年前、2014年の自分の日記。

社員が4人しかいない、卒業アルバムを作っている会社で働いていた時の事。たった半年間位しか働いていなかったけど、本当に毎日2時間以上ずっと怒られていた。その前に勤めていたアパレル企業は毎日終電で繁忙期は1カ月以上休み無しだったけど、その時より全然この半年間の方が辛かった。

「お前は人生から逃げている!!」と怒鳴られ続け、「死にたいなぁ…」と呟きながら会社からの帰り道を歩いていた自分が、今はWebディレクターという仕事に就いて、大変な思いをしながらも毎日楽しく仕事が出来ている。
仕事が楽しいと思える理由は単純で、周りの人に褒めてもらえるからだ。
毎日怒られるより褒められた方がいい。当たり前の話。

「今の私」と「毎日怒られていた私」に何か資質や能力の違いがあるか?といったら、何も変わっていない。でも、今の自分の評価と、5年前の自分の評価は全く違う。

今日は少しだけそんな話について書いてみたい。

今の仕事が向いていないと思っている人、働いていて辛い思いをしている人にとってちょっとでも参考になればとても嬉しいです。

ちなみに、とても分かりやすい環境、役割による評価の違いとして、5年前と今では今の方が倍くらい高い給料を貰っています。(昔の会社が給料激安だった、というのが大きな要因ですが)

忙しい人向けにまずは結論から

・好きだけど苦手な事をやるより、得意な事を仕事にした方が絶対いい。
・環境、与えられた役割によって人からの評価は全然変わるから「今の職場での評価=あなたという人間の評価」ではない。
・会社、仕事なんて死ぬほどいっぱいある。辛いなら辞めよう。でも、楽しいと思える仕事をするには相応の努力が必要だと思う。

今日伝えたいことはこれだけ。ここから先は自分の昔話なので、お時間のある人だけどうぞ。

5年前の職場で私に求められていたスキル

なんで、あんなに毎日怒られていたのか?それは凄くシンプルな話で
「会社で私に求められていた事=私が苦手なこと」だったから。
当時の職場で私に求められていた事は「体育会系的気配りが出来る、社長を気持ちよく持ち上げる役割」で、思いっきり文系サブカルクソ野郎で、生意気で口が悪い私にはまったく向いてない役割でした。

その会社に入るまで全然知らなかったんですが、世の中には「体育会系」という人種がいます。社長は学生時代ずっと剣道に打ち込んでいて、色々な大会で優秀な成績を残してきた超体育会系。1年生は奴隷、2年生は貴族、3年生は神。そんな価値観の社会で生きてきた社長にとって一番大事なのは、
いかに体育会系的気配りができるか?でした。

今でも鮮明に覚えているのですが、社長がちょっと用事に出かけて会社に戻って来た時に手荷物を持っていて、それを走って取りに行って「私が持ちます!!」と言わなかった事を2時間怒られた事がありました。

社長が剣道部だった時代は、2年生がご飯を食べている時に、1年生はその前に正座して、ご飯が無くなりそうなタイミングですかさず「お代わりはいかがですか!?」と聞き、飲み物が1/3まで減ったら注ぐというという文化で生きてきたそうで、そんな環境で生き抜いてきた社長にとって私の気の利かなさはとんでもないストレスで、怒られている私のほうですら「社長、怒り過ぎで死ぬんじゃないかな?」と心配に思うほど。

それ以外にもう一つ私の役割として求められたのが社長の車の運転手。
運転自体は問題ないのですが、私はとにかく絶望的に方向音痴なので、こちらの役割でもひたすら怒られていました。社長は短気な人によくいる「道路状況に合わせて最も早く目的地に辿りつける道を選んで運転する事に命を懸けている人」だったので、超絶方向音痴で1つの道しか覚えられない私の運転は耐えられる様なものではなく、目的地に向かう車中でずっと怒られていたのを覚えています。

まとめると、5年前の職場で私に求められていた事は

・体育会系的気配りが出来る従順な家来としての役割
東京都内の道を熟知し、最適なルートを選んで目的地に辿り着ける運転手としての役割

だったんですが、両方とも全くできなかった私はひたすら怒られ続け、「死にたいなぁ…」と呟きながら家に帰っていく日々を半年ちょっと過ごし、これ以上メンタルがヤバくなる前に…!と自分を守るために退職をしました。

そのあと一念発起して、Webの求職者支援訓練校に半年間通いWebディレクターとしての仕事を始めたんですが、そのあたりの詳しい話はいつかきちんと書きたいと思っています。求職者支援訓練という制度に人生を救って貰ったので。

そんな毎日2時間以上怒られ続けていたクソ使えないダメ社員だった私が、Webディレクターという職種として働き始めると結構周りから評価して頂く事が多くなりました。特に今年になって色々な会社と一緒に働いていると「何だったらウチくる?」みたいな誘いを受ける事も。

繰り返しになりますが、5年前の私と今の私で基本的な資質や能力に違いがあるか?といったら、何も変わっていません。でも、環境や役割が変わったので評価が180度変わってしまったのです。

Webディレクターとしての私に求められるスキル

・自分の頭で考えて情報を整理していく力
・クライアント、制作チーム、様々な関係者を巻き込んで一緒にプロジェクトを進める為のコミュニケーション力

他にもいろいろあるけれど、代表的なのはこの2つのスキルがWebディレクターに求められている事だと思います。

そしてラッキーな事に、この役割は「文系サブカルクソ野郎で、生意気で口が悪い私」にはとても向いていました。普段から色んな事を考えるのは癖になっているし、人がちょっと言いずらそうにしている事をさらっと言える「空気の読めなさ(社長の言う気の利かなさ)」が、色々な利害関係者のいるプロジェクトの推進役としては結構役にたつ。誰かが言わなきゃいけない、言いずらい事ってのが沢山あるから。

2つの環境における評価の違い

2つの環境で私に求められている役割の一番大きな違いとして

「社長の考えている事を察知し、それを先回りしてサポートする役割」

「自分で考えて、自分から発信&行動していく役割」

という違いがあるのですが、基本的に自分の主張が強い私には後者の役割の方がずっと性に合っていました。というか、身長163cmでメガネで、いかにも弱そうな文系サブカルおじさんの私を何故雇ったんだ?見れば一瞬であなたが必要としているタイプじゃない事は分かるだろ、超体育会系社長よ。

得意な事を仕事にしたら、それが好きなことになるよ

今日は卒業アルバムを作っている会社で働いていた事をメインで書いたんですが、その前はアパレルの会社でメンズファッションのデザインの仕事をしていました。その頃の仕事を一言で言うと「好きだけど自分の一番得意な事ではない仕事」でした。

「好きなことを仕事にすると好きじゃなくなるから、好きな事は仕事にしない方がいい。」

「いやいや、好きなことやらないと!人生一回きりなんだから!」

こんな話をよく見聞きしますが、私の経験則としては、

「好きなこと=得意なこと」ならそれをやった方がいい。あなたは超ラッキー!やらなきゃ!

「好きなこと=苦手なこと」だったらやめた方がいい。上手く出来なくて好きじゃなくなるから。

「得意なこと」は上手く出来て褒められるから「好きなこと」になるよ。

です。誰か、就活とか転職とかに迷っている人がいたら参考にしてみてください。自分の得意な事が何か?をよく考えて、それを活かせる仕事をした方があなたも周りも幸せになれるよ。

5年前、あまりの私の出来なさに怒りまくった社長が顔を真っ赤にして、こぶしを握り締めながらプルプルしているのを見ながら「あぁ、この人は今自分を殴りたくてしょうがないんだな。でも、それをやっちゃったらお終いだから必死に我慢している。この人もこんなに怒らなきゃいけなくて辛いだろうな…。」と思ったのを覚えています。

環境、役割によって人の評価は全然変わるから、なるべく沢山の人がその人の特性にあった仕事をして、きちんと評価される。そんな流動性の高い社会になれば良いなと思っています。

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