見出し画像

声出しを命じられたレギュラー


高校時代の監督は
それまでピッチャーとショートをやっていた彼にキャッチャー転向を命じた。
  
  
その理由は、
「体に柔軟性があったこと。そして、誰よりも人を思いやる気持ちがあったから」
と監督は語っている。
    
    
全くのゼロからのスタートだったが、
キャッチャーというポジションに真摯に向き合い、レギュラー候補になるまでに多くの時間はかからなかった。
    
    
打撃はあまり良い方ではなかったが、
それ以上に守備面やピッチャーにアドバイスを送る姿勢を高く評価され、
打てなくてもレギュラーとして起用され続けた。
 
   
    
そして、監督はこう語る。
   
「彼の欠点を挙げるとしたら、闘志を表に出すのが下手だった点でしょうか。声も小さくて通りにくかったですね。練習から外して声出しを命じたことが数え切れないくらいありますよ」
 

彼は声出しを命じられると、
グラウンドの3塁ベンチの上で
応援団員のように腰を反らせ、
「おはようございます!」
「ありがとうございます!」
「ワンアウト!ツーアウト!」
などと延々と叫んでいたそうだ。
 
そんな日々を過ごした彼は、
最後の夏の大会で甲子園準優勝。
 
 
大学、社会人を経て、
ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。
    
   
日本代表メンバーの常連になり、
球界屈指のキャッチャーに成長している。
 
 

 
 
彼の名前は、

 
 
 
 
小林誠司

以上、「声出しを命じたレギュラー」でした。

※この記事は彼の半生の極一部を抜粋して書いたものです。

【こちらもどうぞ↓↓】
ゼロからの上京物語〜長崎のニートが芸能界へ〜

記事は全て無料です。よろしくお願いします。