パーフェクトレコードに挑んだ男
デビューから約8年。
プロ21戦目で念願の世界挑戦のチャンスが訪れた。
相手は22戦22勝22KOのパーフェクトレコードを誇る王者だった。
当然、試合前の評価では王者の圧倒的有利という見方だった。
王者対策のために、
王者をよく知る選手をスパーリングパートナーとして招聘した。
彼はパートナーに
「今度の試合はカウンター狙いで行こうと思う」
と相談した。
しかしパートナーはこう答えた。
「王者のスピードはお前より遥かに速い。カウンターは通用しない。ボディ攻撃で消耗させるしかないぞ」
そして、対策を練り直すために王者の過去の試合のビデオを見返した。
そこで気付いたことが2つあった。
「過去の対戦相手は王者に対してボディ攻撃をほとんどしていない」
もう1つは、
「全試合をKO勝ちしているが、一発KOという試合はほとんどなく、連打を浴びせてのKO勝ち。パンチ力そのものはそこまで強くないのではないか」
分析と並行して練習を進めていった。
そして迎えた試合。
入念な準備の成果が表れ、3ラウンドでダウンを奪った。
これは王者がプロで喫した初めてのダウンだった。
中盤以降もボディを執拗に攻め続けた。
戦略通り、終盤は王者に疲れが見え始め手数は減っていた。
結果は3-0の判定勝利。
圧倒的不利の前評判をひっくり返し、
パーフェクトレコードの王者に土をつけ、
彼は世界チャンピオンになった。
残念ながらその後の初防衛戦でKO負けを喫し、
王座から陥落してしまったものの、
現在は世界王座返り咲きを狙っている。
彼の名前は、
元IBF世界スーパーバンタム級王者
小國以載(おぐにゆきのり)
以上、「パーフェクトレコードに挑んだ男」でした。
※この記事は彼の半生の極一部を抜粋して書いたものです。
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