【#039】健幸のための茶道
私が茶道を始めたころ、師匠からこう言われました。
「茶道をしていると、横倉恒雄がますます恒雄らしくなります。」
私も、本当の自分が研ぎ澄まされて行くように感じがしています。
そして師匠はこうも言います。
「お茶を点てる人のその時の心情や生き方がそのままお茶の味として現れてきます。」
そして師匠は、稽古のあと毎回聞いてきます。
「今日はどうでしたか。」
私は先日、こう答えました。
「今日の宗風としてできる最高のお点前をしたと思います。そして最高のお茶をお出ししました。」
ようやく最近そんな心境になって来ました。
これも私が癌になり、いのちを意識できるようになったからだと思います。
これが今、この瞬間を生きて自分のいのちを使っていることだと思います。
千利休の茶室を訪れていた戦国武将も、今生きていることを茶室で感じることができたのでしょう。