難聴と高額補聴器について
難聴に補聴器が必要とはいいますが、どんな人でも補聴器をつければ相手の言葉が分かるというものではないことは、殆ど知られていません。その上、補聴器業界も自分たちの利益確保最優先なのでしょうが、補聴器を医療器と称して高く売りつけることばかり考えているように見えます。
ここでは、SNSやホームページなどから拝見する高齢者の意見や、自らの経験・体験に基づく「補聴器は、高過ぎる」など、疑問に思う点と医療機関・補聴器業界のあり方に関する問題について私見をお伝えしたいと思います。
1.補聴器が有効な難聴と無効な難聴
超高齢社会ですから難聴者が増えることは理解できます。しかしながら、もとより補聴器が有効な伝音声難聴と補聴器をつけても音としては伝わるが言葉としてはしっかりと聞こえなくなってしまった状態の感音性難聴があることは知られています。分類上は、伝音声難聴、感音性難聴、両者の混在型の難聴の3種類です。
2.難聴者への対応
介護や医療のテキストなどに難聴の種類は明示されていても、難聴者と触れ合う頻度が高い介護者でさえなかなか正しく対処することは理解できていません。ある介護施設の80人程の介護職員でも、せいぜい大きな声を出したり、耳元で大きな声で話すことくらいです。
さすがに、身内に高齢者がいる、しかも介護者本人が高齢な女性職員だけが、たった一人ゆっくり話している様子を見ただけです。つまり、介護職といえども、難聴者の理屈は習ったが、テキストに対応の仕方は書いてありませんから、正しく対処できないようなのです。
3.補聴器の種類は、軽度・中度・高度難聴
補聴器には、軽度難聴向けのもの、軽度・中度難聴向けのもの、高度難聴向けのものの概ね3種類に分かれるようです。ところが、医療機関ではそれによって補聴器に随分と価格差がでることを知らしめていないようです。
この為、多くの中度の高齢者でも何十万もする割高な補聴器をしている人が多いようです。医療関係者には信じがたいようですが、わたしは姿勢を良くしていることで難聴の度合いが大きく改善してきています。
以前父が使用していた補聴器を使用してきましたが、壊れたために修理見積を出してもらいましたが、呆れることに20万円を超えました。それを機会に自分の合うものを探したところ、小さくて耳に痛みもなく扱いやすい8万円にも満たない補聴器に切り替えました。
4.医療と称して高くする補聴器
純粋なメーカーとは異なる、補聴器を売ろうとする販売代理店や提携メーカーの社員の話を聞くと、軽度・中度・高度難聴の種類の話は積極的にしていません。難聴の種類を確認すると、高度難聴以外にはオーダーメイドの補聴器は殆ど必要ではありません。
そのような補聴器は、誰の耳に入るように設計された汎用性の高い形の補聴器になります。従って、必然的に売値が安くなります。しかも今どきはスマホと連携した操作も簡単で安価になりましたから、有名メーカーの軽度・中度向けの補聴器にも機能がついています。
補聴器の寿命を業界的に概ね5年としているようですが、電池の寿命、重さ、値段などを考えて、修理せずにとっとと安価なものに乗り換えていい人は多いのではないかと考えるようになりました。補聴器は医療機器とされていますが、何も医療と称して高く売りつける必要はないでしょう。
5.軽度・中度難聴の補聴器は、大型家電店で十分
大型家電店で売っていますから、高齢者で感音性難聴が入って言葉が聞き取れないという人以外は、特に高い補聴器は要らないと思います。高齢者の高度難聴は感音性難聴が入っているため、高い補聴器でも聞きとれないという人も多いのではないでしょうか。
こうした視点からすれば、補聴器にそんな高い金額を支払う意味が小さくなります。外出時に、交通量の多いところで音を拾う必要はあるでしょうが、若い人が人工内耳で高度難聴から中度難聴になるというのとは違うように思います。費用と効果を考慮して、選びたいものです。