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失敗を受け入れることで子どもは安心してチャレンジできる

親の役目は「引っ張る」より「押し上げる」方がいい理由


今のグローバル化の波は、加速こそすれ停滞することはもう考えられないですよね。


2020年からは、現在小学5・6年生から必修となっている「外国語活動」が3・4年生から必修になり、5・6年生では教科になるそうです。


しかし、グローバル社会に必要な能力って、英語力だけでいいんでしょうか?


そもそもグローバル社会って?


グローバルな社会とは、様々な国の異なる価値観を持った人々と交流していく社会のことです。

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だから英語力はもちろん必要だけど、英語が話せるだけなら日本人でなくてもたくさんいますよね。


その中で必要な人材になるためには、日本人ならではのアイデアを出したり、考え方を発信できることが求められます。


それは、親から子へと受け継がれていく価値観や生活習慣から形作られるものなのです。


では、グローバル社会で通用する人間にするために、親は子どもにどのように接するべきなのでしょうか?


子ども時代はいい人生を歩むための準備期間といえます。


小中学校時代が知識を広げていく時期だとすれば、乳幼児期は人としての土台づくりをする重要な時期です。

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親にはその土台づくりのサポートをし、子どもが社会に出たときに困らないようにするために大切なことを伝えるという役目があのではないでしょうか。


そのとき、親は子どもを引っ張っていくというイメージよりも、“押し上げていく”という接し方がベストだと思います。


例えば、子どもが急に走り出したり、ちょっと高いところに上ったりしたとき、皆さんはどのように声かけをしていますか?


「そんなに走ったら転ぶよ!」
「危ないからやめなさい!」

と言っていないですか?


『この子はまだできない』と、何でもすぐに助けたり、先回りしたりすると、身体的にも精神的にも痛みを知らない人間になってしまいます。


社会は優しい人ばかりではありませんよね。


親が何でもやってあげると、社会に出たときにどう振る舞っていいのか分からないまま育って、挫折から立ち上がれなくなるんです。

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同じように、「親がレールを敷いてその上を子どもに進ませようとする」のも、子どものためにはならないと思います。


「親が子どもを最後まで引っ張っていければいいかもしれないが、順番からいけば親は先にいなくなりますよね。


そのとき、それまで親の言いなりで過ごしてきた子どもは、やはりどうしていいか分からなくなって、社会に適応できなくなってしまいます。


ワシントン大学の研究グループは、2016年4月25日号のアメリカ科学アカデミー紀要にこんな衝撃的な研究を発表しました。


「母親から愛情深く、よくサポートされて育てられた子どもは、冷たい態度で育てられた子どもに比べて、脳の成長が2倍以上早い」


「良きサポーター」である母親の子どもは海馬の発達がよいという結果でした。


この調査では、母親と3~5歳の子どもを同じ部屋に入れていくつかの課題を与え、そのときの母親の様子を観察し、子どもの脳をMRIでスキャン。


子どもが13~15歳になるまで、計3回にわたって追跡調査を行いました。


その結果、「良きサポーター」である母親の子どもは、「学習や記憶、他者への思いやりやコミュニケーション能力などに関係する海馬の発達がよい」というデータが得られたというこです。


しかも、最も発達がよかった子どもは、最も発達していない子どもの2倍以上にもなっていたそうです。


そして、6歳まではよそよそしい態度だった母親がその後「良きサポーター」となっても、海馬の大きさはあまり変わらなかったことから、6歳までの親の関わり方が脳の発達にとって重要だということも明らかになったんです。


「親のサポートで脳の発達がよくなる」というと、読み書きや計算ができる=認知能力が高まることを思い浮かべるかもしれないが、そうではないんです。


大切なのは、“我慢強さ”や“思いやり”“協調性”“自己肯定感の強さ”など、テストでは測りにくい非認知能力です。

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これこそ、親がサポートして身に付くものだということです。


そこで、親が「良きサポーター」となるには、具体的にどのように子どもに接していけばよいか、0~1歳の乳児期、2~6歳の幼児期に分けて解説します。


0~1歳(乳児期)


この時期はとにかく語りかけて、触りまくることです。


赤ちゃんはまだ言葉は理解できる年齢ではありませんが、“楽しい”“沈んでいる”“怒っている”など、自分に話しかけられる声の様子は感じ取れます。


それを聞いて育つことで、3~5歳くらいになったときに自分の感情をどのように表現すればいいのかが分かるのです。


どんなことでも、インプットがなければアウトプットはできませんよね。


相手の声の調子を感じることは、相手の気持ちをくみ取る訓練にもなります。


でも、「言葉が分からない赤ちゃんに、どう語りかけていいか分からない」というパパやママもいると思います。


僕もそうでした。


そんな時は、『あれ、オムツかな?』『おなかいっぱいだね』『あくびが出たね』のように、赤ちゃんとの生活を実況中継するればいいのです。


育児をしているとストレスを感じることもありますが、話しかけることが親自身のストレス発散にもなります。


一方で、ベビーマッサージなどの皮膚刺激も脳の発達に効果があり、免疫力を高めて筋肉の発達も促します。


日本ではベビーマッサージは心臓から遠いところから始めますが、脳の発達だけを見れば、どこから始めてもいいと思います。


大切なことは順番ややり方よりも、赤ちゃんとたくさん触れ合うこと。


そのときも『あんよ』『頭』など触る場所の名前を教えてあげたり、『気持ちいいね』『眠くなっちゃったね』と語りかけたりしながら、優しく触れ合うようにしましょう。


新生児の脳はまだ成人の30%程度の重量ですが、3歳までに70%以上になります。


親からの語りかけやスキンシップなど、外からの様々な刺激で神経回路のネットワークが作られていきますので、こうした刺激を十分に受けた子どもは、知能が発達し、ポジティブで感性豊かな子どもに育っていくでしょう。


2~6歳(幼児期)


この時期は子ども自身が試行錯誤しながら正しいやり方を見つけることが重要です。

この時期にまず親が念頭に置くべきことは、“子どもはいきなり何かをすることはできない”ということです。


親は自分たちや他の子ができることが、自分の子どもにはできないと、“どうしてこんなこともできないの?”と思ってしまいがちです。


でも、思い出してみてください。


自分たちが子どものとき、最初から何でもできたわけではないですよね? 


大人になってから始めた習い事でも、まず先生がやり方を教えてくれて、お手本を見ながらやってみて、できなかったらまた教えてくれて、そのうえで自分でも何度も練習して、やっとできるようになったはずです。


子どももそれと同じですよね。

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例えば、「立つ」「歩く」「ジャンプする」「ひもを結ぶ」「ボタンをかける、外す」など。


このような大人が何気なくやっていることも、子どもにとっては大変なことなのです。


子どもはまねをしたがりますから、見せて、まねさせて、できたら褒める。


手こずっていたら、少しだけ手を添えてやらせてみる。


そして、最後に完成するときには必ず子どもにやらせる。


そうすると、子どもは『自分でできる!』と自信を持ち、自己肯定感が生まれるようになります。


もし間違えても、直接的に訂正はしないでください。


自分で試行錯誤しながら正しいやり方を見つけ出させる過程が大切です。


親はあくまでサポート役に徹しましょう!


子どもは失敗をしながら学んでいくものです。


親も頭では分かっていても、「また余計な仕事が増えた」と、ついつい感情的になってしまいがちです。


そんなときは、子ども自身に後始末をさせればいいんです。


例えば、子どもが飲み物をよくこぼすなら、タオルを小さく切ったものをテーブルに何枚も用意しておき、子どもに拭かせるといったことも一つのやり方です。


でも、時間がない中で育児も家事もしている親にとっては、どうしても「自分でやったほうが早い」という気がしてしまいますよね。


もちろん、子どもはきちんと拭けませんから、後でもう一度親が拭き直さなくてはいけないことのほうが多いです。


でも、この時期にそれをきちんとやっておくと、成長したときに親がグンと楽になるのです。


子どもは突然できるようにはならないので、「0歳のころから親が何でもやらせてみるように心がけることが大切なんです。

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「うちはもう4、5歳になってしまったから手遅れか…」という方も、がっかりしないでください。


4、5歳になってから始める場合は意識したいポイントがあります。


それは、子どもが何かやってくれたら、『助かった』『やってくれてうれしい』『ありがとう』という感謝の言葉を送ること。


子どもはいつも親に褒めてもらいたいと思っています。


親が見てくれている、認めてくれていると感じれば、子どもは喜んで、進んでやるようになります。


うちも今、まさにこれをやり直している最中です。


洗濯したタオルを畳む場合でも、大人は端と端をぴったり合わせて畳むことができますが、子どもには端と端を合わせることはすごく難しいことです。


さらに「きれいに畳んで」と言われても、「きれい」が具体的にどんな状態のことを示しているのかが、子どもには分かりません。


「やらせるときは『~しなさい!』ではなくて、『こうしたらうまくできるかな?』『あー、きっとできないよね?』と少し刺激してみると、『できるもん!』と子どもはがぜんやる気になってくれます。


親は最初から“できない”と決め付けるのではなく、3歳くらいになったら、上手にはできなくても“できる”と思って接してあげてください。


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