けんたろう

けんたろう

最近の記事

おジャ魔女どれみを見る細田守の目に映る残酷さと誠実さ

作品には1番手前の1番わかりやすい部分にストーリーがある。その奥に作者が伝えたいメッセージがある。さらにその奥には作者の思想や無意識(日記のようなものだと言えば分かりやすいだろうか?)があると大島渚監督が生前に仰られていた。そういった見方をすると印象がガラッと変わる作品がある。細田守さんが演出した「おジャ魔女どれみドッカ〜ン!」の第40話「どれみと魔女をやめた魔女」もそんな作品の一つだ。 『冒頭、どれみは学校からの帰り道にある五叉路をいつも通り、当たり前のように左の道を進み

    • 平成という失敗と鬼滅の刃という救い

      2016年「鬼滅の刃」が連載開始し、2019年アニメがスタートし大ヒット作品となった。 虚構を経由して現実を分析すると、また違った角度、それまで見えてこなかった新たな現実が浮き彫りになることがある。そこには、その時代だから表現できた「問題意識」や「社会の無意識」が露わになる。 例えば「ONE PIECE」には生まれ育った街を離れ海に出る「ここではない何処か」が大きなテーマの一つであり、その時代の「窮屈さから逃げ出したい」「もっと自分が輝ける場所がきっとある」といった人々の

      • 理想を忘れた現実主義者と宮崎駿が空を飛ぶということ

        1983年宮崎駿さんの母親である宮崎美子がお亡くなりになられ、2018年には高畑勲さんがお亡くなりになられている。 宮崎駿作品に度々登場する美子さんをモデルにしたであろうキャラクター。特にポニョのトキさんには如実に現れている。ラストでトキさんに抱き抱えられる宗介のシーンには宮崎駿の母親にもっと愛されたかったというメッセージがストレートに表現されてしまっている(もう少し突っ込んで考えてみると、母親にもっと愛されていればジブリというグランマンマーレに支配され時間も才能も吸い取ら

        • 東京ミュウミュウはれたすのビルドゥングスロマンである

          東京ミュウミュウは「いちごの物語」ではなく「れたすのビルドゥングスロマン」である。 ビルドゥングスロマンとは「教養小説」という意味である。わかりやすく言うなら「成長物語」である。ハリーポッターや映画版のドラえもんをイメージしてもらえれば伝わり易いだろうか。 この東京ミュウミュウという物語は基本的にれたすにろくなことが起こらない。「同級生に苛めに遭う」「初恋の相手の背中を(結果的に)押して他の女性にプロポーズさせてしまう」「憧れの人形職人に自分の作品を盗作される」「白金に好